指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

大和で戦争を終わらせてみた/艦これ

戦艦大和

「これは夏の大和イベントや秋の武蔵イベントの話なんだけどさ、もう一点、面白いのは、人間、一定の状況に追い詰められて精神的に疲弊してくると、自分の持っているリソースや戦力に対して、ある種のひっくり返った憎しみを感じ始めることがあるんだよね」

「なんですかそれ」

「秋イベント最終日、武蔵ゲットに成功した僕はレア艦掘りに移行していた。延々最終海域をマップ周回していたが、イベント開始時に平均7万ずつ貯めていた資源があと1万になっても、レア艦はドロップしていなかった。時刻はすでに深夜、いや早朝4時に近かった。日が昇れば会社だ、眠い、もう寝ないとさすがにやばい。しかし…」

「何やってんですか」

「艦これだよ。そして、こういう明け方の4時に、人間の心にはどういう考えが浮かぶか? それは、残りせいぜい数時間のうちに実際にレアドロップが出るか、という望みの薄い事柄よりはむしろ、あと1万のこの資源を溶かしてしまいたい、無くしてしまいたい、という考えだ。それまでは雷巡や重巡等を含む、出撃毎の消費資源の効率の良い編成で周回してきた。だがそれを、大和や武蔵をはじめとする、きわめて消費の大きい編成に変えたらどうだろう。僕は大和を演習主体にかなり高レベルに育ててあり、あきらかに最強の戦力だったが、資源消費が莫大で、出撃あたりの効率が低いため出番がなかった。だから、逆に、大和なら資源を大量消費してくれる。この残った手持ちの油を全部なくしてくれる。そうしたら、最善だったかはともかくとして、少なくとも挑戦をやり切った、全力を使い尽くしたことになり、実際、資源がなくなって何もできなくなるわけだから、終わる。終われる。眠れるではないか。」

「…はあ? それで、実際そうしたんですか?」

「そうした。大和・武蔵を主体とする高燃費艦隊を出撃させて1万を全部使い尽くして寝たよ。そのとき思ったんだ。なんかこれ聞いたことあるぞって」

「あー?」

「これか、こういう精神状態か、と思ったね。なるほどな、そう考える、そう感じるわと。」

「もう当初の目標であるレアドロップには興味がなくなってて、眠って起きて会社に行かなくちゃいけない、そっちの事のほうを考えている。でもじゃあその午前4時時点で資源を残したまま眠ればいい、と考えることもできない。それまでイベントのために何日も遠征を重ねて貯め、そして効率をつきつめて使ってきた貴重な資源、それを残してイベントを終わることもまたできない。この資源があり、この艦娘たちがいるからこの苦境が続くのだ。それらに対する感情が一種の、なんらかのひっくり返った憎しみみたいなものに近くなっていく。だから大和でこの資源を使い切らせて眠ろう。全部溶かして終わって寝よう。最適化をつきつめようとしてきたゆえに起きる倒錯だ。これだ。」

「それですか」

「これはかなりあるんじゃないかな。そう、1割くらい、終戦当時の海軍の意思決定においていろいろな思考があってそれが総体で10とすれば、1くらいがこれなんじゃないかな」

「1割。出鱈目なんだか控え目なんだか」

「やっぱり艦これは面白いね。刺激的なゲームだ」

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