指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

テーマが「幸福」の美術展

 里帰りしたとき家族で六本木ヒルズ森美術館でやってる美術展に行った。題してHAPPINESSだが、古今のアートを集めても幸福でつなげるのって難しくないかしらと思った。幸福とは何か、と問うている人自身は、しあわせには思えないから、無自覚さが必要で、ハピネスと題した時点で半ば負けてないかな。明々後日の18日まで。

 収穫は、ベルリンオリンピックの記録映画「オリンピア」が見れたこと。レニ・リーフェンシュタール女史って死んだの去年なのか……ゲルマン兄ちゃんたちの全裸動画連発は多少目の遣り所に困るが、十字架を模した飛込競技とか、投光器を垂直に集めてみたり、名高いナチス党の宣伝力の一端を体験して寿命が延び縮みした。

 それと一緒にソ連の1939年(上作の1年後)のなんかの大会かパレードかの記録映画が流れて、大興奮。マスゲームに組体操に銃剣体操と、やってることのムードが似てて可愛い。ポーランドをなかよくはんぶんこにしたばっかりだし。どでかい写真の載った山車のひとつめがスターリンでその次は……うわあこれは同志ベリヤ長官じゃないですか。大粛清を始めて4年目ぐらいの、働き盛りのインテリ眼鏡萌え。

 あと、伯林−大都会交響楽という映画(1927年)も非常に良かった。どのカットにも気合がみなぎっていて目を離す隙がない。面白い場面しか撮らねえぞ、退屈な画面の一片たりと俺さまのフィルムから蹴り出してやる、みたいな意志を感じた。このヴァルター・ルットマンは上作オリンピアにも協力し、後に戦場で記録映画撮って、1941年東部戦線で事故死、だそうな(アヴァン=ギャルド映画)。

 歴史は楽しい。やっぱり幸福じゃないな。

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