指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

バーチャファイターは一次元

 ストリートファイター2は二次元のゲームである。x軸は間合い、y軸は重力付きの間合いで、「このキャラのジャンプ中Kは下方向に判定が強いため早出しとめくりとでゆさぶっていける」などなど、強い多数のゲーム性を生んでいる。

 バーチャファイターは3D格闘ゲームだが、一次元しかない。見た目三次元のうち、実際に機能しているのはx軸だけで、z軸(奥ゆき)にもy軸(高さ)にも意味が無い。しゃがみ/立ち/よろけ等の状態を持つキャラが一直線上で戦っているとみなしてよい。SF2との差分で考えると、ポリゴンキャラの存在感を強調するためにキャラを画面内に大きく納めてジャンプ攻撃を無意味(激弱)化したため、空対地・空対空戦がオミットされ、y軸が消えたということになる。

 VF3やソウルキャリバーではz軸への避けと、それを撃墜する回転系の技(回し蹴り)が登場したが、これは餓狼伝説以降の「緊急回避」に類する状態変化の一種とみなしてしまっていい程度のものである。

 エアガイツでは俯瞰カメラで三次元戦闘を、見た目ではさせたが、実態は間合いの取り合いとジャンプによる緊急回避であり一次元であった。どうせキャラが常に正確に相手の方向を向いているのだから。

 バーチャロンや連邦対ジオン、FPSでも一次元が突出して強い。戦う相手と自分を結ぶ直線(奥ゆきのz軸)が強く意識されていて、y軸やz軸は敵の攻撃をよけるための一時回避場所にすぎない。そこで三つ/四つ目の点を配置して平面をつくるために、バーチャロンでも連邦対ジオンでも、二対二対戦が導入されたのだと考えられる。

 しかしどちらの多人数対戦も、まだカメラが自機に近過ぎると思う。画面レイアウトが自機とターゲット機体とのふたりしか意識していなさすぎる。もうすこしカメラを引いて、非ターゲット機体(できれば味方機も)の方向と距離と攻撃警告を表示し、二次元平面を意識させるといいと思う。

 またバーチャロン的なゲームでは重力のポテンシャルがゲーム性に組み込まれていない(おお、ダブルミーニング成功!)。連邦対ジオンやアーマードコアでみられるブーストゲージによるジャンプによる回避行動は、空間機動というより、単純なゲージ消費のシステムである。それらを越えて、y軸の重力を、SF2での使い方のうちのいくつかのように応用したり、また、空戦における位置エネルギーのように使うことも可能ではないだろうか。同様に水平方向にも風向きによるポテンシャルを設定する(帆船ゲー?)などの手はありそうだ。いずれにせよ画面レイアウトが重要で、バーチャロンのカメラがジャンプした瞬間に水平方向からの視点に切り換わったら、かなりy軸と重力を使ったゲーム性が組み込めるだろう(その場合 攻撃が等速直線運動をする弾体で行われるのでは駄目そうだ 要工夫)、が実際にそうしたら酔うだろう。



 次元がゲームとして機能するためには、ゲーム性を獲得するには、ゲーム中で意味を持つには、 処理系がn次元座標で動いているだけではなくて、ゲームシステムが各次元にそれぞれ意義を与えていなくてはならない。



 SF2では攻撃判定と食らい判定を兼ね備える"キャラクター"が特定のジャンプ軌道を描き、プレイヤーにできることは任意のタイミングでそれらの判定を変形させることである。攻撃と食らいが同居して重なり合っている、でも完全に重なっているのではなくてずれている、というところが良い。SF2のゲームシステムは強靭で、そろそろ厳しくなってきたようではあるが、少なくとも既に相当な長生きをしている。

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