ヘリより強いスパイダーマン２
スパイダーマン２観て来ました。
誰が言ったか、googleで再発見しそこねたのですが、いにしえの昔、ある知者が、なにかのレンタルビデオを観終わって言った文句があります。すなわち
ヘリだ、ヘリを飛ばせ。
なぜヘリコプターを飛ばさないんだ。
ヘリコプターを飛ばせばどんなフィルムだって映画になるんだ。
おそらく、飛行機は、プロペラ機ですら、映画のカメラを置くには速すぎる。いろいろと面白いもののある地表面に対して、あまりに速く飛び去り過ぎてしまう（「過ぎて」がうまく重なった。やったぜ）。直線的で、発着地点が限定されていて、途中下車の可能性が無く、中間経路が飛翔者に関係をもてず、見えていても手を触れえぬ、急行の通過駅になってしまう。
映画のカメラはもっとゆかいな三次元軌道をえがき、また、首を振れなくてはならない。飛翔主体をフレームにおさめながらカメラ自らがぶんまわされ、したがって観客がぶんまわされ（天空の城ラピュタ書き出し／雲）、それによって水平にせよ垂直にせよ加速度、Gが表現される。だから、ヘリコプターであるし、あるいはメーヴェ、フラップター、魔女の箒、筋斗雲である。
で、彼、スパイダーマン、蜘蛛の糸によってニューヨークのビルの間隙を跳ぶスパイダーマンというのは、ヘリをもしのぐGでカメラをぶんまわす。おそろしくフィルム映えする能力だ。彼が漫画メディアから登場したことを疑いたくなるほど。映画出身じゃあないの？ しかも、今のCG技術の。
物語面では、ピーター対嫁、ピーター対叔母さん、ピーター対親友、ピーター対博士、と4本ものラインがあり、それぞれ読ませる。横の関係が薄くて各個に一騎打ちを仕掛けてくるので、アスタリスク型のギャルゲー扱いしたくなるが（第一日記2001年11月16日）、ゲームではないので、主人公は空白（妹パワーでモテモテに）ではない。空白どころか正面から受けて立たねばならず、それはピーターのあのばっちり大きな目である。あの目が百面相するのを見てるのがとても楽しい。
序盤のピーターへこませパートの一環として嫁が「高い女」化するので、われわれは嫁に萌えを見出すことができない。その担当は隣のやせっぽ娘っ子で、こちらはノックからやりなおすという兇悪なヘタレ技をかましてくれる。それでもって彼女の父親もかわいいため、セットでより一層なごむ。
その他物理学の教授やタブロイド紙の副編/社員など、無数の丁寧な愛のピーターもてもて描写がはりめぐらされており、じぶんのまわりの街いっこ分を守ろう、守らねば、という心情に説得力を持たせまくる。ピーターをへこます人々からは、個人的悪意が取り除かれている。
演出の力は爆発していますが、それが乱れていて面白いのは、メカ触手の扱いです。脊椎に探針打つなら女の子に打て、とは言いません。アメリカ人にそこまでは要求しません。それに、恰幅のいい紳士専攻の衆らだっているのです。問題は、あのメカ触手のキャラ立てが未整理なこと、メカ触手の行動の方針がわからないことです。自分の仕事を信じたいのは博士だし、川の底に沈みたくないとは考えたかもしれないが、そこから実験の再試へつながるのはわかりません。煙草吸ってみたりするし。他の登場人物には全部、行動の方針が簡潔に定められているのに、メカ触手にだけ文学的な謎が残されてしまっています。登場時の残虐暴れぶりにより、小芝居でのかわいさに常に凶暴な恐ろしさが含まれているところも、作劇が収まっていないと言えます。
今週の予告
ディープ・ブルー
これはレイトショーじゃないほうがいいかもしれない。映画館を出て寿司屋閉店済だと気が狂う危険がなかろうか？
バイオハザード２
化粧品のCM。最初騙されかけた。俺脳内予告では、髪の毛をふわりと手で払って、そこからデリンジャーを取り出してバンバン
君はゾンビ 僕はSTARS いつも君を 撃ったね バンバン（※キルビルの歌）
マッハ!!!!!!!!
メイキングのFlashが素敵すぎる。最後など、「跳び回し蹴り‥」「避け‥」 な‥ 「回し蹴りをかわしたところに‥逆回転の踵蹴り‥だとぉ‥」「これが‥陸奥かよ‥‥」 背景白くて塵が舞ってるに違いあるまい（※修羅の門のこと）。
今週の5秒でおさらいするブラックホーク・ダウン（暗いニュースリンク『追加された悲しい結末』）
ねえもうソマリアなんかから手を引きましょう？
ダメだ！ならこのブラックホーク・ヘリコプター直してくれよ！
Ｒ・Ｐ・Ｇ！ Ｒ・Ｐ・Ｇ！
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