web拍手の投票のコスト
web拍手ボタンを設置してみた。
日記にしろ何にしろ、読者がいかに低コストで評価を送れるか、というのは一大テーマだと思う。お金がかからず、時間がかからず、アイデンティティを賭けず、フレームの危険を冒さず。
id表示でコメントを書く場合、それはそのページに表示され、そのエントリの本文や、その他の人々のコメントと並んで第三者の目にさらされる。おおげさに言えば、他人に馬鹿にされる危険、評判を下げる危険があり、いくぶんかアイデンティティを賭けることになる。
id非表示の名無しでコメントする場合も、うっかりへぼいことを書き込んでしまってそのコメント欄を荒らしたり、あるいは荒れるきっかけになる危険が残る。これはフレーミングの危険である。
トラックバックを送るには、上記二つにくわえてさらに、日記という資産が必要になる。
投げ銭システムにはそうした危険はないが、お金がかかる。また導入の手間がかかる。
メールで感想を送るのはかなりコストが低い。情報の範囲が一読者から一作者へという、たった二人の間の関係に限定されているので、フレームへの発展その他、第三者の視線の存在による勝負の発生・拡大が避けやすい。
さらにそれよりコストが低いのが、web拍手である。web拍手の投票はメールソフトを介さないし、さらに投票者側は匿名である(IPを取れば取れるが、取っていない*1)。
*1 投票者のIP
ここがweb拍手の多少むずかしいところだ。投票者のIPアドレスが作者から見えてしまうと、それって匿名かよ、という話になり、しかし貶し言葉を連投されたりするとブラックリストに指定して遮蔽したくなるはずで、そうするとIPを見て蹴り出すことになる。
しかし、はてなのシステム側で実装し管理してもらえれば、投票者が作者からは匿名でありながら、はてなのシステム側からは特定できているという状況になる。そうすれば作者からの要請で「この投票をした人を以後遮蔽してください」という仕組でいけると思う。http://i.hatena.ne.jp/idea/1749
デフォルトのwebclapやpatipatiは、最近2週間の各日各時間の拍手数を記録する。しかし知りたいのはどのエントリに投票がされたかだ。頻繁に時事について更新されるサイトならば、その二つは同じものになるのだが、うちのごときのろまなサイトではそうはいかない。特定エントリを名指してもらわなければ、何が受けたんだかわかったもんではない。
わがサイトののろまさ、非アップトゥデイトさの源をさかのぼれば、うちの文章さんが時事を嫌っていることである。これはまず、私事と時事とを扱うのが非常に上手い人らがほうぼうにいるので、そのニッチを避けようとしているためといえる。しかしより本質的原因は、うちの文章さんが長期的にものを見すぎていることである。文章さんは自分が数年後に読まれることを想定して身づくろいしている。だから投票がエントリごとであってほしいのだ。何年後からでもかかってこい、というわけだ。
さらにいえば、たぶんあの洗足池図書館の冷涼に光るフローリングの上で育まれた思想であろうが、文章さんは文章というのは死人が書いたものだと思っているふしがある。大丈夫か、こいつ?
参考:
消費時間差