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しっとロボビッグ王子/アクエリオン第6-7話

 創聖のアクエリオン第6-7話、面白い。巨大ロボットものの典型的なキャラ立ての歪みをさらに誇張するゴシック方向の仕立てだが*3、その手の馬鹿アニメでは脚本演出作画の高テンションがひとつになった時が見所であり、ここがそこだ。巨大ロボの重量を伴った挙動は見事、敵のデザインもいかす。戦車が停止射撃していたのが残念だが大局的にはどうでもよい。6話末尾のYシャツネクタイの芝居も最高だ*2

 そうした褒め文勢から外れるが、アクエリオンの味方側司令官キャラは、このアニメの他のキャラクター同様馬鹿設定であり、毎回の馬鹿ハッタリ台詞役を務める。で、先々週、そこに座っているだけでいいの?を書いたが、あの内容を粗く要約してみよう。すなわち、馬鹿でもいいからなんかアドバイスしてくれたほうがいいよね。

 うむ。大人は馬鹿だな。しかし、馬鹿でも居てくれると助からんこともないよな。

 遠慮して引っ込んで不在よりは、愚かなこと言いながら居てくれたほうがましだな。

 ちかごろそこここで感じる政治的に強気な空気は、国家を家族にたとえて(字面ですでにたとえられているが*1)、国家政治の、あるいは地方自治のレイヤーでそういう教導者の需要を満たそうということなのかしらん。だとしたら、もっとずっと下層でやるべき仕事だと思うが…



*3 ゴシック

 先行作品の誇張表現をさらに誇張し、次の作品がさらに誇張し…と、順次ディフォルメが激しくなっていくこと。そうやって誇張と装飾過多とバリエーションがきわめられていくうちに、突然また一気にシンプルあるいは写実的なところが再評価されるように戻ってくる。がまたそれも徐々に工夫されディフォルメされていき…



*2 Yシャツネクタイの芝居

 Yシャツネクタイは雑魚キャラであり王子より格下である。Yシャツネクタイも王子も互いにそのことはわかっている。だからといってそれは、王子が第6話で野良に敗北したことを認めることに影響はしない。そこが面白い。王子の妹ならば(彼女はYシャツより格上キャラであるが)、王子が負けたことを認めないかもしれない。まぐれだのズルだのと難癖をつけて、野良の勝利を否認してもおかしくない。だがYシャツネクタイはそこまで共同幻想つくってあげられる位置にはいない。

 6話前半部でYシャツネクタイは王子の特訓に付き合って、彼の必殺技開眼に手助けをした。そこまででロマンチックレベル3に到達したといえよう。そこからあの王子の必殺技が敵ロボを倒していたなら、相当きれいな形であり、ロマンチックあげーるよー♪であり、レベル4でゴーであったと思われる。Yシャツも本心ではそれを願っている。だが王子は負けた。皆の前ではっきり負けをさらしたあの展開につなげてロマンチックレベルを進めるわけにはいかない。「ちっ、勝ってくれていれば良いものを。でも私は、あなたが負けたことを否認できるほどの間柄にはまだ立っていないし、やむをえません。レベル2からやりなおしですね」

 Yシャツネクタイは派手な見せ場では内語だだ漏れの喧噪キャラなのだが、最終シーンを無内語でまとめていくその姿にやられた。もうどのシーンをとっても萌えるし笑える。



*1 国家を家族にたとえて

 「国は家族じゃない。もっと呪われたなにかだ」

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