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現実的視点から憲法9条を守る

 憲法9条を改定しようという考えは、真面目で几帳面なものではあるが、今は特にリスクが高くて見合わない。

 自衛隊はまともに法定義されていない軍隊であり、法治下にない軍隊というのはけっこう危険な存在だが、ここしばらくのところは国民感情も軍人への政治的期待を持っておらず、政治的な軍人も輩出されていないからその種の危険は少ない。交戦規定がまともでないので、戦闘力として不確定性があってディスアドバンテージだが*1、その不確定性を衝くとしてもなお、自衛隊は非常に強力な軍隊であり、これに挑むことはリスキーな軍事的冒険であって、ペイしない*2

 法体系をきれいにしたい、現状に適合するように整えたいという欲求はわからいではない。しかし法律を常に現実に一致させていきたいというのは理想主義であって、現実を見失っている。ここから先数年は、交戦規定がさだまると海外で戦争を起こす可能性が高い。今は我慢の時だ。アメリカ人は決してみな無恥凡愚というわけではない。現政権に投票したのはかろうじて52%であり、自分たちがやっていることを恥じる奴等がちゃんといる(Sorry Everybody"大統領選挙に負けちゃってごめん")。日本その他の諸外国がねばっている間に、きっとアメリカの気の利いた連中がブッシュを追い落としてくれる。そういう連中を側方支援してやるべきだ。

 時として形骸化した建前を守ることが有効なリスク回避手段であり、実際的な態度である。日米両国の国内政治状況をしっかり認識して、短視野な理想主義を採らず、現実的でベターな選択をしなくてはならない。



*1 交戦規定がまともでないというディスアドバンテージ

 専守防衛など。劇場版パトレイバー2冒頭や『亡国のイージス』などのような、先に撃てない等のハンデ。



*2 ペイしない

 たとえば中国が日本を攻めるとする。航空自衛隊海上自衛隊を倒して日本海の制空権・制海権を取り、十数個師団の歩兵戦力を運び上陸させ、補給して陸上自衛隊を倒すとして、それにかかる陸海空戦力の損害と稼動費は莫大なものだ。交戦規定のアヤを衝いて比較的安価に、あるいはすごく簡単に日本を占領できる可能性はあるだろうが、サイコロの出目がよれて正面勝負になったらその出費を担わねばならない。そうして日本を占領したとして、ではいったいいくらの利得が得られるのか。日本には資源もないし、だいたい近代国家がよその国を占領したからって、ろくな収奪のできたためしがない。

 なおここで、ペイしない戦いにもかかわらず突っ込んでくるとしたら?という想定が立てられる。この場合については以前ある程度触れたが(id:ityou:20040429)、筆力も知識も粗くて、理屈をすっとばしすぎており読みづらい。もしご要望などございましたら整理して書きます。

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