ゲームは人生じゃないですよ
男の子と女の子とドイツゲーム大賞の話の続き。
「そんなことは言わないはずです。お記憶間違いでしょう。人生はクソゲーなどではありません。」
「あれはある特定の状況について言える話であるに過ぎません。決して人生とか一般的な概念に言える話ではありません。」
「言ってみれば、人生の一形態であって、ある特定の環境の話ということです。」
「考えてみてください。ずっとこうだったわけではぜんぜんありません。そうですね……お金を叩く技術が座業に寄って行く進行と、国内消費市場の拡大ですね。100年200年前あたりを見ると、女の子はあまりお金を持たず、消費の市場ではなかった。そこを、ここ60年をかけて強烈に拡大したわけです。個人主義に寄せて、恋愛主義に寄せて、強力なマーケティング技術をぶつけ続けたわけですが、そこには美しさもあれば厄介さもある。」
「現状はひどくなんかぜんぜんありません。アフリカでは今日も飢えと奴隷化と少年兵と……ここだってつい100年前を見ればはるかにバイオレントな環境だったわけで(東京の下層社会)、こんなブログ書けてニコニコ動画見て甘い物食べていられるようなわれわれは余裕でファットキャットでしょう。」
「ファットキャットにはファットキャットの悩みがある、といったところですね。」
「これもどうせそう長くは続かないでしょう。どこかで切り換わるんでしょうが、そのタイミングがいつで、どっち方向に、どういった表現形態で換わるのかを、いまそれぞれのマーケティング部でアーキテクトが考えているんだと思います。」
「神経のこまかいカナリア作家衆はそうとう前から感づいていて、たとえば富野由悠季先生ですとか、近年だと本田透先生もいますし、他にも浅学にして挙がりませんが錚々当千の衆ありかと。市場側でもあれでしょう、ヤンデレというやつが単語になり流通するようになってきたでしょう。」
「ヤンデレに対する興味というのが市場にある。恋愛主義を突き詰めたキャラクターに対する興味ですね。思想体系を真摯に公理通りに展開したらどうなるか知りたいわけです。ああいうのへの興味が出てくるのは健全なことですね。だから頼もしいと思いますね。市場は決して間抜けじゃないですよ。」
「しかし実際、どういった表現形態に換わるんでしょうかね? それが見えればそうとう頭がいいんですが。」
「(彰浩君、今日は調子が良いみたいだな。)」
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