指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

苛立つ小女神をしのぐ

男の子と女の子とドイツゲーム大賞 体育座りの巨大な女の子 の続き。

「基本的には、ファットキャットの悩みである、というところを押さえておきましょう。飢え凍え病む痩せ猫たちの話ではありません。そのうえで、」

「まず、谷川流先生の言っていないことから始めましょうか。」

「まず、このファットキャットたちの界隈では、お金を叩く技術が高度化しており、男の子にしろ女の子にしろ、12才で学ぶ技術から何段も積み重ねて、十数年ほども経ってやっとで、お金に触れるだけの技術になります。」

「しかし女の子の方は、そこで数年から十年弱、かなり強力な手札を持たされる時期があります。技術でお金を叩けるようになる学習曲線のはるか手前で、手札がとても良くなるわけです。」

「いっぽうそこでその脇の男の子を見ますと、男の子は、比較的手札の振幅が小さいため、技術の学習曲線を進むまで、札をさばくことを考える必要が低い。」

「ですので男の子はぼけっとしています。20とか30とかまで勝負が始まらないということで、血圧も低くなるわけです。」

「何か脇にテンションを高くしてるのがいるけど、なんでだ? てなものです。」

「ところで、座学専修なものでよくわからないのですが、女の子は良い手札を持っているのですが、それで取れるものって何なんでしょうね。あれは何と交換する筋のものなんでしょうか。どうもよく思いつかないのです。」

「切るには切れるし、場にあるものは何でも取れる。のだが、じゃあ場には何があるかというと、たとえば技術はないですよね。お金自体は取れるでしょうが、お金を取る技術は取れない。そう考えた場合、手札は強力なのに場が貧しい形とも考えられます。」



「さて、谷川流先生はおっしゃいました。近代的な女の子はたいへん苛立っている。それは場が貧弱だからだ。視界内に特別なものが何もなくて不満に思っている。」

「次に、大槻ケンヂ先生はおっしゃいました。女の子には技術を渡してあげたいのだが、自分の手元には渡す技術がない。馬鹿映画を教えてみても、それは苦しまぎれで、それでは足りない。」

「そしてケンヂ先生の眼前で女の子たちは個性ビルドに進み勝負を急ぎ次々と討ち死にしていきました。やはり技術基盤に欠く状態での個性ビルドは縦深が足りず強くならないのだと思われます。不思議少女たちのアプローチは損耗率が高く、個性基盤のキャラクター構成の模索は銷沈しました。」

「かたや宮崎駿先生はおっしゃいました。男の子は最初負けた後、おっさんおばさんらに出会いながら技術を得ればいいじゃない。なに女の子は良家の子女とは限らない? じゃあバイオリンを作れる男の子につりあうように、小説を書けるようになればいいじゃない。」

「これは物語製作スタジオの人のおっしゃりようとしては矛盾してはいませんが、統計的に通用するお話ではないので、的を射ているとはいいがたく、放映のたび実況スレッドを、流れ矢に射られた若者たちの悲鳴で埋めることとなりました。」

「いっぽう富野由悠季先生はおっしゃいました。女の子が、技術を持ったおっさんについていく場合があるが、そこで女の子を連れて行くおっさんらというのは責任感が薄いケースが多く、自分の戦いに付きあわせて、前線に立たせる場面が多い。そのため損耗率が高い。」

「と、なると、かなり手詰まりになる観がありますが、そこで谷川流先生は改めておっしゃいました。」



「近代的な女の子はけっして楽な立場にはいないが、では弱いわけでもない。女の子は畏るべき存在である。なぜなら、手札自体はいいので、その出し方しだいでは世界を崩壊させることが可能だ。」

「たとえば、おっさんひとりと周辺の妻子何人かの世界をぶっとばすくらいのことが、手札のいい女の子が一心に集中して試みれば可能と考えられます。そのほか周辺に座っているプレイヤーに、特に下家に座っているプレイヤーには、何か強くリスキーなイベントを起こすことができます。それは富野先生も言ったことで、状況を打破する経路を探すモチベーションを持っている女の子はなにかと周囲の街を破壊する頻度が高い。」

「では、と流先生は話を続けました。」

「では、どうなるか。高血圧な苛立っている女の子をメンテナンスするのが、近代の男の子の任務ではないか。勝負ができないのはいい、それはしかたがない。だが脇で見ているだけではなくて、踏み込んで支援する必要があるのではないか。手札の勝負になる線の手前まで踏み込んで、女の子のモチベーションをなだめすかせと。緊張の窮まったクリティカルな一瞬に、すこぶる適切な一言を言えと。その台詞を一晩かけて考えておけと。」

「それはもっと仲良くなるとか距離を縮めるといった考え方ではない。それよりはむしろ、モチベーションの方向をいなし御し、しのぎ続けるという考え方だ。それが、近代の男の子に求められているムーブではないのかと。」



「あ、話終わった?」



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