完成度の高い悪い夢/くもりときどきミートボール
S木に連れられて川崎のIMAXの3Dメガネで「くもりときどきミートボール」を見てきました。ラジオかなにかでおすすめされたらしい。
上映予告では、ティムバートン&ジョニーデップの「アリスインワンダーランド」が期待。アリスが縮小薬飲んで小さくなってくカットがとびでるメガネでフェティッシュお色気があった。
「ミートボール」本編は、なかなかにすごい。
脚本と演出は、もう、完成してますね。ボーイミーツガールで、才能の鬱屈と開花、父との和解があり、ヒロインが女性の自己実現、脇役が家族の絆、過去の栄光の喪失と新たな自己の獲得。
フルCGでの人間の表情にも十分な表現力がついてて、一人息子の戦死を聞いた父親の悲しみを台詞もBGMも抜きで眉間で表現…とかやれてる。
アクションギャグも、ガラスの大水槽でのギャグで3ギャグとか、使いこなしきってる。
ということで地力は完成しきってる。
完成しきってるから、その意味でつまらないかもしれない…? いやそれがすごい毒味があるんですわ。
それはこの映画のモチーフ
モチーフが…
話のモチーフが
日本人の食品倫理的にドン引き。
ハンバーガーからはじまって、ステーキやスパゲティがぼたぼた落ちてくる。地面に。
それを大喜びする人々。
ない、これはない。まったくのところ。
「アイスクリームがつもって雪合戦や橇で大喜びする子供たち」がハッピーな場面演出にはなりませんから。
この公式に行くとミートボールがぼたぼた落ちてきているフラッシュが流れるけど
http://www.kumori-tokidoki.jp/
引くでしょう。日本も、食品廃棄率2割とか、いうけど、ここまでは麻痺できてないと思われる。
前の席の客が上映後第一声「気が狂ってるな」だったが、まあそういう一線を越えてる絵面の映画だった。
プロデューサーがお百姓さんの88の殺人技を喰らって半殺しになるような世界観だ。
公式ページにWFP国連世界食糧計画学校給食プログラムのポップアップが出るのも何かの悪夢みたいなアドバタイズだな…
きわめて高予算高品質に完成されたテンプレ映画でありながら悪夢のような世界観で頭がおかしくなる。
そうとう面白い映画だった。