第9地区/傑作!ゲーム脳の恐怖!
「第9地区」を見た。
ゲロ映画の系譜というものがあるんだけど、その線で良かった。やや、世界の空気感が一辺倒だったかな。市内とか、空気の変わるところでブラックジョークがひとつふたつあるといいかも。あと母船の内部のカットが1カット是非あるべき。
民間軍事会社の歩兵の仕事が非常に強靭に描写されていて、異星人を実効的に制圧しているんだという説得力が強く出ているのが大事。そこがしっかりしているのでお話がゆるまずに引き締まっている。見事な、クリップボードとアサルトライフルを持った人間最強の世界観。左手にお役所仕事、右手に軍事アウトソーシング。
武器的に見ていくのも非常に面白く、HALO映画化のために集められた人材の作ったプロットだということがよくわかる。
主人公登場
→拳銃
→アサルトライフル
→スナイパーライフル
→ショットガン
→火炎放射器
→(一時的に武装を奪われてスニーキングするパート)
→ナタ
→斧
→異星人の腕
→異星人のザッパー
→異星人のパワードスーツ
火炎放射器: いかに残虐な演出ができるか?がテーマな武器だが、見事にブラックなシーンに仕上げた。
異星人のザッパー: 対象を破散させる特性の企図は、ラグドールとかスタントとかめんどいという理由が8割、かっこいい2割にちがいない。
ミニガンと対物ライフル: ミニガンが効かない→対物ライフルで背面になら効く。という順序なので対装甲戦になっている。
テクニカル: ピンチのところに助けに来る騎兵隊役になっているのが楽しい。
あとこまかくエイブアゴーゴー(Abe's Oddysee)リスペクトっぽさが、異星人やデザイン、シチュエーションに感じられる気がして好感。
文化人類学っぽい面の描写が多いのも楽しい。あの、掘ったくぼみに捕虜を座らせるという習慣にはグッとくるものがあった。なんだか理由もなにもよくわからないが、それっぽい。冒頭のお祝いパーティも、「この民族は身内の昇進をこのように祝うのです」「へー」という感じで異民族さが出ていた。
逆に、異星人にそのような独自の文化慣習の描写が少なく、猫缶とか配給とか人類的な描写が多いのはやや残念。これはアバターでもそうだった。
ここまで演出を詰め込んだうえに、ブラックユーモアと夫婦愛を入れ込んであるんだから、本当に見事だ。
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