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章裕君の今日の怒り/エースたちの撃墜数

まあそう怒るな☆

「おはようございます」

「おはよう。何書いてるの」

「ちょっとしたメモを…先輩、スーパーエースとか撃墜機数って、どう思います」

「エース? 戦闘機パイロットとかのか? どうってどういうこと。ハルトマンが三百何十機だ、バルクホルンが何百機だ、というやつでしょ。何怒ってるの」

「そう。僕はああいったああいうのにロマンを見出すのが苦手でして。その怒りを書きとめておこうと。」

「フム。ときどき血圧を高めるのは健康と寝起きにいい。どういう話」

「たとえば第二次大戦で対地攻撃機の英雄ルーデルは、一人で赤軍戦車を五百両、車両を八百両撃破したといいます。すごい数字なことは確かです。そこでたまに見かける話が、《もしルーデルが一個大隊いたならばソ連軍涙目》てなものですが、いいですか先輩。先輩も軍事おたくの末席を汚しているならば」

「えっ」

「こんなこと言っていたら万一ぶっとばしますよ。いいですか、人材と装備で上回っている側は、パイロットのローテーションを十分とって負担を減らし、多対一で有利に戦わせるので、個人の撃墜数は上がらない。一方、人材と装備が不足している側は、一日に何度も出撃させて小勢で多勢と戦わせる。戦況が悪くなるほど、一人で無数の敵に立ち向かわされる。そこで統計上生き残った人間は膨大な撃墜数を残す。算数の話でしょう、これは。」

「ああ、はい、そうですねはい」

「何のロマンかと。組織、体制として圧敗していて、現場に極度の過負荷がかかっているってことでしょう。確かにこのスーパーエースたちは個人として優秀だったんでしょうけれど。こんな一人で百機だ何百機だなんて、景気のいい数字どころか、現場の目を覆うような人的物的リソース不足が見えて暗陰な気分になろうってもんじゃないですか。はん、まったくおめでたい数字だ。呼ばば前線の英雄算だ。」

「(のりのりだな)」

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