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新世紀エヴァンゲリオン/製品は大いに好評だった模様。なお

出荷される製品

「やっぱうまいなーこの店」

「でしょう。何から何まで全部うまい。あれこれ試し回って、結論がこんな近場にあるとはね」

灯台の青い鳥か」

「それで、何、さっき言いかけてたの」

「ああはい、エヴァンゲリオンの話なんですけど」

「またエヴァ? 好きねえ」

「まあいいじゃないか。あ、すみません、はい。このソーセージプレートと、あとこのチリのやつ1本ください。どうも。お願いします。えー、それで」



「最近、昔の劇場版の、エンドオブエヴァンゲリオンのオチがわかった気がしてきたんですよ」

「あのデス&リバースとかまごころとかのやつね」

「ええ。あの映画のオチって、ずっとなんか納得いかなかったんですよ」

「そりゃ綾波レイが巨大化して人々が弾け飛んで実写パートになって終わって、納得もいくもんかい」

「いや、それはまあ、それとして、あのネルフに戦略自衛隊が突入してきて皆殺しにしますよね。それからアスカと量産機が互いをボコボコにしあいますよね」

「うん? するね」

「それはつまりあのキール議長さんとゲンドウくんとの間の争い、対立によるものですよね。彼らが対立しているからこそ、あの残虐な戦いが起きる。ところが、なんかあのオチは変なんですよ。妙なかんじがする」

「(もとより気持ち悪いで終わる映画に、妙も変もあるまい)」

「あのオチだと、キール議長さんは『すべてこれで良い』とか言ってなんか満足して成仏したふうだし、ゲンドウくんも『これでよかったんだな』とか奥さんとの精神会話的ななにかを言い交わして終わる。つまり、あの終わりの時点で、キール議長さんもゲンドウくんも満足してるっぽいんですよ。なんかそれぞれやり切ったぜ、やり遂げた男の顔、みたいな感じで退場する。なにそれ、どういうことなのそれって」

「だって君たち二人が対立してたからネルフの職員さんがたが皆殺しになって、アスカが骨肉の削り合いを戦ったわけでしょうが。その争いの結果は、どっちかが勝ったんじゃないの、もう一方は負けたはずじゃないの。勝者と敗者に分かれて、一方は物事が思い通りにいって、もう一方は思ったようにできなかったはずじゃないの。なんで二人ともこれでOK納得良かった良かったみたいな態度してんのおかしくない? って」

「それでずっとなんかよくわかんないなー、って思ってたんですが、最近、わかってきた気がするんですよ。それはですね、」

「ほほう。ああ、ちょっと、こっちです。はい。注いでくださいな。はい、どうもー」



「よしよし。で、それでそれは?」

「あー、うまいなー。はい。それはですね、どうもあのオチは、製品が出荷された、shipされた、というオチなのではないかと」

「おお? おー、あー」

「なにそれ」

「ずっと作ってきた製品ってのがあってさ、そのいよいよの出荷の直前に、なんかスポンサーと部局トップが大喧嘩をはじめて、現場はワヤクチャになったんだけど、お、ありがとうございます」

「どうぞ」

「ワヤクチャの大騒ぎになって蟻の巣を崩したような騒ぎになるんだけど、なんとか製品はリリースされ、両者の言い分はそれぞれある程度ずつ入りました。おわり。なおスタッフは全滅した模様。」

「というふうに読んでもいいのかなと」

「それいいね」

「リリースされた製品は、おおむね好評であった、が付け足されてほしいところ」

「それはどうやらそうでして。あれってなんか世界中の人々の元に美少女キャラクターが送り届けられて、人々を心酔、酩酊させるじゃないですか。だからあの製品じたいは大いに好評だったようなんですよね。」

「はは。滅びていったスタッフたちも浮かばれよう。売上は全てを癒す、とも言うからね」

「なんだそりゃ。その、大喧嘩ってのはなんなのよ」

「思うに、納期と内容についての衝突かなと」

「ははは。まあおおかたそうだな」

「ゲンドウくんは製品にあの初号機ってロボットを入れたい。そのためにもっとなんか準備に時間をかけたいっぽいんですよ。それに対してキール議長さんは、ロボットであれば初号機である必要はなくて、もう早くリリースしたい」

「元請けの思惑としては、グダグダと何か言い訳ばかりして結局期日に完成品が出てこないってのが一番マズくて、ゲンドウは完成品を出さないと思われた風味とか」

「あー、はい、そう、そうそれ」

「成果物が出ないのなら、総括PMとしてはかねてから用意していた代替品を出荷せざるをえない」

「代替品ってあの量産機か。『エヴァシリーズ、完成していたの!?』って驚く。それは現場スタッフ的には噂はあるけど、揃ってないだろ、大丈夫だろーと油断してたってわけか」

「ですです。だからあの、量産機がなんかオカルト陣形で宙に並んで、その中央に初号機がおさめられる、って絵面は、そういう構図なのかなと。元請け的に、現場のこれまでの成果物全部捨てて、代替品だけでリリースしてやろうかと思ってたけれど、現場が期日ギリギリの最後の最後でモノを上げたから、それならそれ使ってやるよ、製品構成の中心に置いてやるよ、出来自体はいいからな、もっと早く出せよな全く、と」

「あっはっは。愉快な話だな」

「だもんで、このところ、エヴァンゲリオンの登場人物たちについてけっこう考えが変わってきまして、まず…」

「あ、牡蠣のオイル漬けと、牛すじもつ煮込み、あとこの南アフリカのやつ一本ください」

「それとボンゴレビアンコください」

「よく食うなあ」

「でもうまいでしょ。ボンゴレも超うまいですよ。分けてあげますから」

「そりゃどうも、ありがとう」

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