ドリーム/ヒドゥンフィギュアスの感想
「ドリームみたよ」
「良かったでしょう。ヒドゥンフィギュアス。四つの戦いが並走して全部勝つ、一二七分四勝。プロットぎちぎちで、無駄もだれ場もなくがんがん進む」
「普通に脚本書いたら、あの三人の話をつなげて、たとえばオイラーの公式の話をしておくとか、fortran言語の話をするとかできるのに、やらない。カッコいい」
「そういうのないですよね。というのは、より抽象度の高いレイヤーでかれらは助け合ってる」
「ほう」
「既存の閉ざされた扉を、どうにか隙間を通っていくことで、『そういうこともあるか』と前例化していく。そうして前例を作るとその後の者が通りやすくなる。実際、あの三人のうち、一人目がスペースタスクグループに入ったことで、二人目、三人目はやりやすくなってる。」
「あーそうか」
「この映画なかなか面白いのが、かれらの間で具体的な専門技術、技法での助け合いや、落ち込んでいる個人を励ましたりとかいったことは、きっとあっただろうと思うんですが、そのレイヤーでの助け合いの描写をしないので、抽象度の高いレイヤーでの『前例を作ることで互いを助けるんだ』という関係が強調されていると思うんですよね」
「ははあ。そのへんからがあの三人の距離感、なんというか、ウェットにならない関係になるんかな」
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