客と資産家ヒーロー/タイガーアンドバニー
「でもそういう、スポンサーのロゴマークを背負ったヒーロー、っていうキャラクターデザインだと、スポンサーとの対立関係がないと面白い話にしにくそうだけど。実際に牛角とかのマークをつけてたらやりにくくないの」
「いや、スポンサーとの対立って話ではそれほどないですね。」
「どういう話をしてるの? 面白いんでしょ」
「そうですね… えーと、この話、ヒーローにスポンサーがいるわけですけど、そこが窓口というか、そこを通じて、自分で守っている市民たちとの接点があるんですよ。」
「ふむ?」
「ヒーローが市民を守るにしてもさ、どこかで接点がないと、一方的に守る構図になるでしょう。『守ってやってる』というか。でも、守っているその当の市民たちは、どんな人たちで、どんなことを言ってるのか。そういう情報がヒーローに伝わる経路はあったりなかったりするけど、ではあるとして、それでどうなる、という。」
「ははあ。そういう話は面白そうね」
「たとえば少し前の仮面ライダーでも、探偵事務所をやってる設定のライダーとかあって。それはライダーとは特に関係ない、閑古鳥の鳴く儲からない事務所なんですけど。でも、事務所ってのは客が来て、その依頼を受けて働くわけで、ひとりで案件を始めるわけではない。だからそこが市民との窓口になっている。それがポイントで、それと似た話かなという」
「ふむ。その経路がない場合は、バットマンか。」
「バットマン。そうかもしれませんね、バットマンは、彼にはスポンサーも客もいませんからね。経済的には大金持ちでひとりで成立してるし。市民と仲良くないですしね。一昨々年そんな話書いてましたね(id:ityou:20080818)」
「じゃあそのタイガーアンドバニーの悪役は、きっとバットマンだな。資産家で自前の秘密基地とか持ってて、装備情報人材その他で他人に頼る必要がない。それで自己憐憫的で『こんなに正義のために戦っているのに世界は俺を愛さない、なぜだ! そんな世界なんて俺だって嫌いだもんね!』とか言う。そういうやつとどういった殴り合いになるかだ。」
「どうですかねえ」