指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

イラク戦争2003 フセイン最後の賭け ソロプレイ

 イラク戦争2003 iraq war 2003 フセイン最後の賭け ソロプレイ

 フルマップ級ゲームをソロプレイするのは初めて。しかし、ターン頭の爆撃でZOCが消せるのと、ヘリ移動の空中機動部隊が容易に裏回りできるのとで、戦線張っての防御が不能。通信設備への爆撃と部隊への爆撃→混乱で行動ポイントが飽和攻撃をくらい、イラク側にすることがほとんどない。空軍も格落ちのが4ユニットしかいないし、移動と攻撃の処理のせいで装甲部隊は攻撃のリスクが高い。

 つまりイラク側に行動の途があまりに少なすぎるような気がする。初期配置で都市に篭って、あとは米軍の采配ミスとサイコロ事故を祈り、適当な瞬間に「1/4で2点!」と叫びながらミグをつっこませる。そして「都市防御に不向きな機動打撃部隊がむざむざと……」と嘆く、ぐらいな気がする。

 でもゲームジャーナルr7号は「首都防衛戦まで温存すべきだった共和国防衛隊をカルバラ-ナジャフでの反撃に投入したフセインの積極性が圧敗を招いたのでは」と論じてたから、まともな描写なのかもしれない。

 つらい話である。まさにアメリカ軍のソロプレイモードであり「対戦になっていない」わけで、しかしどんな国であれ戦争を始める側は手に汗握る互角伯仲の熱戦などしたいはずがなく、開戦から終戦まで相手に何もさせずにすますのが理想なのだから、アメリカは少なくとも戦争の局面に関しては理想の戦争をしているということではある。つらい話である。

 このままパックスアメリカーナが続くと新作ウォーゲームはどれも困った出来になってしまう怖れがあるので、ゲーマーは一日も早い米帝覇権主義の瓦解を祈るべきだろう。



 今回、初ターンのミサイル攻撃で中央・南部のレーダーと通信設備を狙ったら、中央レーダーの盲目化が成功。以後、毎ターン共和国防衛隊の精鋭へ爆撃をしまくり、ステルス機2ユニットは通信設備を潰しに行った。イラク軍はカルバラとアル・ヒダーとアル・クートを師団+民兵で守り、後の防衛隊師団はバグダッドまわりに敷いた。この三都市に米軍が来るころには通信設備も残り5個とか4個とかになっており、そこに毎ターン3つ程度の部隊を爆撃混乱から回復させてやらなければならないのだから、使える行動ポイントは指折りできるかどうか。イラク軍としてのプレイヤーは半ば士気崩壊し、おかげでプレイの進行が早い。8ターンに首都圏へ到達し、ティクリットも落としてあとはバグダッドを落とせば勝利となる。しかし、攻撃の同一師団制限(エラッタ参照)もあり、混乱しても2防御力の防衛隊連隊ユニット3枚スタックがメガシティに3コラムシフトで篭っていると、A-10の地上支援3コラムシフトがあっても削りきれず、バグダッドは10ターンをしのいで、勝利条件的にはイラク軍勝利となった。釈然としない勝利である。

 デザイナーズノートには、イラク機械化部隊は米軍側面を脅かせ、とあるが、都市の退却無視効果や、一部だけでも大河の攻撃力半減効果がないと、ヘリで挟まれて即死するような気がする。どこへ動けばいいのだ。



 ルールブックの記述は整理されておらず、説明図もわかりにくい。ディベロップ不足というやつか。しかしゲーム展開では、地上へのドアをこじ開ける先鋒としてのステルス爆撃機の重要性は強く描写されており、地獄のような高価格だったB-2も一歩償却へ近づけたと思わせるし、「どんな軍事上の問題も"ヘリコプター"があればすべて解決する、という観念を得る」ことができて、興味深い。

 空中機動部隊の裏回りで包囲殲滅なんて本当にできるんだろうか……?

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