指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

ランダム性と技術性

 運とインフレと実力と麻雀の続き。また、第一日記1999年09月05日の続きでもある。



 ランダム性と技術性とは、決して対立する概念ではないのである。

 つまり、ときおり「このゲームなんて運のみだよ。簡単簡単」という台詞を聞くことがあるが、どんな対戦ゲームもプレイヤーのスキルが同等ならば運のみゲーであり、したがって、研究が進んで調べつくされてしまえば勝率は均等になる。

 すると、技術性とかランダム性とかいった言葉は、対戦プレイヤーのスキルが異なると想定していることになる。すなわち、技術性とは研究すべき課題の多さと、各課題を究めるのにかかる労力の深さ。ランダム性とは、プレイヤーがその技術面に投資した労力の差が、どれだけ擾乱によって無効化されるか。であるといえよう。

 よって、この二者は対立概念ではない。

 さてここで、ゲームとしてある意味で優れているのは、研究する課題が多く、各課題が奥深く、かつ、なんだかんだいっても初心者が上級者に勝ってしまうものである。そういうゲームだけが優れたゲームなのだとは言えないけれど。

 たとえば太平記やタイタンは、ゲーム上の各局面でかなり多数のトレードオフが存在する。部隊強化、予備部隊の編成、次ターンの移動しやすさ、足止め用の雑魚スタックの移動、相手の主力スタックとの決戦可能性、その決戦での勝利可能性、勝利得点、敵戦力の将来性と自方戦力の将来性などなど。(他に考慮に入れる視点があればぜひコメント頂きたい)だから一局面ごとにプレイヤーはけっこう考えるし、一見似たような形の局面であっても、わずかな違いのために、打つ手はかなり変わってくる。

 そしてそれだけ多くの要素が複雑なトレードオフ関係を構成し、プレイヤーが必死でそれを解くにもかかわらず、実際には、一個のサイコロ振り(太平記では主導権の、タイタンでは移動の)が局面を激変させ、形勢をくつがえす。すなわち、その「形勢」自体が技術的視点にもとづく指標であり信用ならない、幻想の一種である。勝率はゲームの序盤中盤を通じて50%近傍からたいして動かない。形勢とは有利な*理由*であって*勝率ではない*。

spcategゲーム[ゲーム]