一段だけ上り下り/還元主義者などいない
吉村先生と飯食いながら話しながら考えた話。
還元主義者だの総体論者だのというのは、実際には存在しない。それらは相手をけなすために仮につくられた藁人形であって、ほんとうにそんな考え方をしている学者はいない。それらは血圧の高い理屈屋たちのつつきの順位争いのために用いられている言葉であり、真面目な話をするときには使わないほうがよい。
ある事物を複数の概念に分解してモデル化する、これは、一段階、還元の階梯を下りたということである。それによってその事物の挙動を理解したとき、それは成功である。さてここでおそらく、されがちな誤解というのがある。それは、一段下りて成功したのだから、下即ち之良し、と思ってしまうことである。あるいはまた、階梯の一番下に最終的な目標がある、と思ってしまうことである。これは誤解である。
一段下がることが成功なのであって、とばしていっぺんに二段下がったりしても駄目なのであるし、五段ジャンプとかしたらさらに駄目だ。すごい下のほうに行けるなら途中はすっとばしてもいいや、とはいかない。どの段から始めてもいいが、そこからちょうど一段下りる。それが成功である。べつに最後の一段が、それがあったとしても、特に偉いということもない。
そして、段を上がるほうにも同じ理屈が適用できる。
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