指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW 脚本・演出 ジョージ

 スカイキャプテン・ザ・ワールド・オブ・トゥモローを観て来た。これは、急いで観に行かないと終わっちゃう映画だ。

 というか浜松では一週間で即レイトショー送りから上映終了でした。残念。アヴァロンやイノセンスよろしく、ばりばりに琥珀色のエフェクトかけてモノクローム色彩設計レトロフューチャー世界ですが、しかし、そういう問題じゃない。

 すごい突込み待ち映画です。全力で、全身全霊で突込み待ちしてる。はやく! 早く突込み入れて! 劇中じゃ誰ひとり突込み入れないから観客のあなたが突込まないと流れちゃう! 急いで!

 突込んで!

 そこのあなた!

 フィニッシュヒム!



 例によって鑑賞後H君と飯を食う訳ですが、上映中ところどころでくすくす笑っているぐらいだったこの突込み待ち感覚が、二人で確認していくうちに確信に。脚本・演出のジョージ(小動物系)の存在が幻視できてきて、30分ほど酸素欠乏に陥りました。


ジョージ(仮)「あのねあのね、冒頭ね、ニューヨークに大きな飛行船が

到着するの。でねエンパイアステートビルの尖塔にね、船員がロープを

投げるの。塔側の係員がそのロープを受け取って、何かにくくりつける

とかじゃなくて、そのまま手で引っ張るの。

どお?(目を輝かせて)
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「でね、ビルの街に巨大ロボの行列がこうね!(しぐさ)

三つ一組で一斉に向けられるトンプソン・マシンガン!

切り返してもう一回

三つ一組で一斉に向けられるトンプソン・マシンガン!

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「それで雪山の中にはでっかいドーム!

人跡未踏の禁断の聖地に隠されていたのは巨大な採鉱施設だったの!

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「気絶した三人が目を覚ますとね、そこは

伝説の秘境シャングリラ。でねお坊さんとか居てね、

絶壁に滝が流れ落ちてて、遠景にロココ調の石造りの庵とかね、

あと花や木が咲いてる。

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「うん…いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「で移動シーンなんだけど、眼下の

海に経度と緯度と方位がスーパーインポーズされてるの。

地図のとおりにね。雲とか浮いててそのはざまにね。

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「プロペラがこうシュパーっとエンジンの後ろに

下がって(しぐさ)そのままスクリューになるの! それで戦闘機隊は

翼を並べて海中に突入! 潜水艇部隊になって島に近づくの。

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「うん…いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「でねそのあわやという時、眼帯おねえさんは

脱出レバーを引く! すると携帯ジェットでおねえさんはあっと

いう間に水面へ急上昇!
…そして空中へ急上昇!(スタッフの反応を見ている)

…そして母艦まで急上昇!

どう?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「いいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「それで転んだヒロインが立ち上がって

『地面撮っちゃった!!』

『フィルムあと2枚しかないのに地面撮っちゃった!!』

『あと2枚しかないのに!!地面撮っちゃった!!』って。

『地面撮っちゃった!!』ってね?

どう?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「あー…面白いと思うよ、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「その洞穴の奥には、銀色に輝くでっかいロケットが!

ぴかぴかでしみひとつなくってね、その中に無数のコンテナを運び

込んでる浮遊プラットホームとベルトコンベア。

実はこのロケットは、ドクタートーテンコフがあらゆる動物を

小型化してひとつがいずつ積み込んだ、ノアの方舟だったの!

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「それはすごいね……ジョージ」↓
ジョージ(仮)「あわてて扉を開けようと駆け寄った博士に

電撃が! あわれ博士は百万ボルトの高圧電流で見る間に

一髪のこさぬ骸骨になってばったりと倒れるの!

どお?
突込みを入れる
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 スタッフ「すごいんじゃないかな、ジョージ」↓
ジョージ(仮)「きりんや首長竜のつがいが落下傘でふわふわ

降りてくる不可思議な光景をファインダー越しにとらえてて、でもその

フレームが左隣のスカイキャプテンを向いてね、でカシャって

シャッターが下りてね、最後の一枚のフィルムでキャプテンを撮るの。

でそこでね、キャプテンがヒロインに真剣な表情で『ポリー』

『レンズキャップが。』

って。

どう?
スタッフ「それは
ありえないよ
ジョージ!」
スカイキャプテン・ザ・

ワールド・オブ・トゥモロー

 あと3倍ぐらい、このフォーマットの文章に収めて書けないところがあるので、まああると思ってください。たとえば思わせぶりに「君の笑顔の奥にあるものが信用できないんだ」とか言った編集長の役者が次の出番を待ってずっと座ってるのを、ふと隣を見やって目が合ったジョージが不思議ッ面でみつめるシーンとか。あるいは裏切り者の雪山ポーターの役者達が次の出番を待ってずっと座ってるのを、ふと隣を見やって目が合ったジョージが不思議ッ面でみつめるシーンとか。



  ジョージ「ついに二人が追い詰められたロケットの

  最上部には、目も眩む虚空の高みに架けられた橋!

  幅狭く手すりもないそこを渡っていくほかに、道はないの!」

spcateg漫画/アニメ/映画[漫画/アニメ/映画]