先生方の「一番大切」
ときどき偉大な先生方がインタビューを受けて、○○作りで一番大切なことはけっきょく△△ですね、などとおっしゃることがある。そういうのは御自分で何を言ってるのかわかっておられないので、七割引で聞かなくてはならない。実際には先生方は多数の要素をさばき、トレードオフしている。その一番大切なことというのは、そのときの彼のテーマ、これから対処しようと思っているところ、現在興味を向けている題目のことである。そのとき以前には別のものについて取り組んでいたのだし、そのとき以後はまた別の問題を俎上にお載せになろう。たとえば先生が「やっぱり一番大切なのはスタッフのコンビネーションですね」と述べられたとして、ああ今回はスタッフの組織構成が課題なんですね、そこにいま取り組んでるんですね、てなものだ。
「もうできちゃってる人」はたいがい、自分ができるようになったことを度外視して物を言う。たとえば絵の上手い人が「漫画はストーリーですよ」などのたまう。人間そうやって自分の取り組みのスポットを制御しているのだ。先生方の後を追う身には気をつけなければならない。
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