指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

TRPGの情報

 TRPGのコンテンツ、すなわち情報について考える。

 たとえば、ルールをディストリビュータが売る。世界設定は既存の原作小説のパブリッシャが売る。シナリオはユーザーゲームマスタが作成して、プレイはユーザープレイヤとともに行う。

 そしてたとえば、この世界設定は、ディストリビュータが書いて売ってもよく、ユーザーゲームマスタが作ってもよく、あるいはユーザープレイヤがプレイ中に言ったことでそう決まってもよい。その情報作成を誰が担うかは任意だ。


ディストリビュータは、世界設定をつぎつぎ書いていって売ってもよい。

ディストリビュータは、シナリオをつぎつぎ書いていって売ってもよい。

ディストリビュータは、リプレイをつぎつぎ書いていって売ってもよい。

 TRPGは、それを構成する情報のどこのどれだけを、誰が作っても成立しよう。ユーザーの体験としては、多くの情報作成を自分で担うほど充実するだろう、そしてそれはつまり負担でもあるので、トレードオフして適切な状態を達成すればよい。具体的に言えば、商品を適度に買えばよい。

 ユーザーは、自分たちがどの部分をどれだけ担当したいかによって、ゲームを選び、サプリメントを組み合わせ、残した空隙部分を自分たちで埋めて、遊べばよい。*1

 これを逆に考えると、市場内の嗜好の異なる層に対して、ディストリビュータがコンテンツにどのような情報を含めるかによって、異なる販売戦略となるわけになる。あるタイトルが、どこまでの情報を提供するか(それすなわち、どれだけの空隙を残すのか)による区別だ。基本的には、ディストリビュータは、なるたけ多くの情報を提供しようと志向するものであろう。

 別の言い方で考えると、TRPGというのは、ある一個の、情報の完結して成立しているゲームがあって*2、それを数人で遊んでいるときに、「なあ、これ、このゲームの情報が完結してなくて、不定の空隙部分があったとしても、俺ら、遊べるんじゃね?」という話のものと考えられる。





*1 遊べばよい

 市場としての見方からすれば、遊ぶ必要もない(遊ばずにリプレイを買っていくユーザーも十二分にユーザーである)。



*2 ある任意の独立して成立しているゲームがあって

 歴史的には、個人級の戦闘SLG、チェインメイル。

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