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伊豆守ハイパー格好良い/大奥

『大奥』三巻はまったく素晴らしい。とりわけ好きなのが207ページ、伊豆守のコマだ。素晴らしい。一コマのカタルシスに単行本三冊の構成と設定とが結実している。



大奥の物語には、愛があり、哀しみがあり、陵辱もある(クライベイビーサクラ基準)。

さらに、数十人規模の社会、国家規模の社会もある。英雄もいる。

この時点で豊かだが…これがすごいことに、ここに素敵なものがさらにあるのだ。

歴史が動き、社会制度が変わる瞬間。しかもそれが、英雄の勝利によって起こされるものではない。英雄が勝利して歴史が動くのではなく、むしろ英雄の諦念、諦めたその感情が一機因であるという、委曲な進行だ。

疫病と、経済構造と、階級支配と、愛憎劇と、老女の偏執(平和志向の!)と、英雄の諦念と――それらの組み合った混交が、時至って――

そこで、そのとき、その場にいた一人のおじさんが、それを見て意識する。

「……」

「今だ」



これがねー ここの描写の憎いことよ。巧みなことよ。このおじさんが、タイミングをずっと意識して待っていたわけじゃない。「今だ!」ではなくて「今だ」なんだよね。そういう手もある、そうかもしれないという識閾下のアイデアであったものが、そのとき、それらの要素がその場にならんでそろったそこで、意識上に出てきたわけなんだ。

「あれ…? これ、いま、ここが…あれなのか!」

なんて劇的な一コマだ。

いや、この構成は演劇で組めるものではない。

これが組めるのは…この一瞬にこのカタルシスを集約できるメディアは…漫画だろう。

なんて漫画的な一コマだ。

マジ涙ぐむ。

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