指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

殺すしかないようだな/風の谷のナウシカ

第三巻21頁9コマ目。このコマでクシャナの表情が緩んでいるのはポイント。

「一度言われてみたい言葉…『殺すしかないようだな』ですかね」

「なに、それ? クシャナだっけ? マゾかい」

「違いますよこれすごい差し合いの台詞じゃないですか。『殺すしかないようだな』、殺す必然性があるわけです。殺すに足る理由。そうでしょう」

「うん」

「しかし本当に殺すならそんな台詞を言うまでもなく撃つわけです。だから、何か言ってみろ、喋ってみろと言っているわけです。その喋りの内容次第で考えてやる、ということであって、じっさい、クロトワはここをしのいでいる」

「ははあん?」

「殺すに足る理由がある、にもかかわらず、喋り次第ではそれを抱え込んで組んでやる、と言っていることになる。だから、それだけの能力がある、才覚があると、認めているという意味ですわね。お前を殺さなければならない理由があるのだが、それに拮抗するほどの価値もお前に認めているのだ、だから何か喋ってみろと。なんですかそりゃ。愛の告白ですか。」

「いや…違うと思うけど。」



(*1)

このコマでクシャナの表情が緩んでいるのはポイント。この時点まででクロトワとの現状認識が一致している。この先が交渉なわけだが、クシャナからすれば前提条件が一致すれば交渉自体のウェイトは軽いのだ。別の言い方で言うとこれは、部下がある状況について戦略レベルでの現状認識を言ってみせて、それが上司のそれと一致していた場面であり、上司にとっては課題の半ば以上が終わったことになる。クシャナ心理的にはだからここで弛緩している。

spcateg漫画/アニメ/映画[漫画/アニメ/映画]