ベイマックスのネタバレ感想を書きました!
「ベイマックス観たよ」
「おお。どうでしたか?」
(ネタバレの危険が高いです)「納得のいかないのはオチ、終わり方なんだよね。主人公とあの実業家が積木ロボと健康ロボを量産して、事業化している絵が入るべきじゃないの?」
「ほう?」
「お兄さんがせっかく大学に連れていって、バトルだけじゃない才能の伸ばし方を教えたわけだ。そしてその次に徹夜ビデオで伝えたのが、自分や身内だけでない、不特定の世界中の人々を利したすける技術の活かし方という大きな夢だった」
「そうですね」
「ところがさ、エンディングであの主人公と大学院生たちは、さらっとヒーローチームになるじゃない。何をやってるのかと。なんであの街ひとつのヒーローになっているのと。主人公のロボット技術っていうのは、積木ロボも健康ロボもどちらも、あの街を越えた世界中の人々の役に立てる、人々を幸せにしうる技術なわけでしょう。それがなんであの街だけでの『とてもすごい警官』をやってるのかと。」
「ふむ。前にそんな話してましたね(バットマンの基本設定)。」
「そう、バットマンで顕著なのだけれど、あなた大金持ちで知恵もあるなら、街を救うにはあなたそれ事業をおこしてその経済的な面から街を救いなさいよと。ゴッサムシティを豊かな都市にして犯罪率を下げていきなさいよと。ある人がある線を越えたとてもすごい能力を持っているとき、そのとてもすごい力でもって『とてもすごい戦士』をやってもスケールしない。能力が活きず矮小化されてしまう。今回のベイマックスの序盤はまさにお兄さんが主人公にそのことを伝えるシーケンスなわけだからね。お前は路地裏のロボットバトルにおさまっていてはもったいないぞという」
「それだから主人公が『ヒロ』=ヒーロー、お兄さんが『タダシ』=正す、なんですかね」
「あーそれか! そうかもしれない。うんうん」
「よっしゃ」
「だからあの大学院生四人組もおかしいんだよ。主人公が立ち直るまでコミックヒーローものにつきあってあげるのはわかるのだけれど、本編が終わったら主人公を学業に戻さなきゃ。それであの実業家と組んでそれぞれロボット事業を発展させている絵が何枚もあるはずだ。それがなんでトラブルが収束した後も一緒になってヒーローチームをやってるんだよ。ヒーローを続けるのはあの後継ぎの坊っちゃん一人でいいはず」
「ふむふむ」
「なるほどそうかもしれません。そうすると、そう考えると、あの一流中の一流のピクサー映画脚本陣がわかりやすい見落としをしていることになりませんか?」
「そんなこともあるんじゃないかなあ」
「…ここは逆に考えるんですよ。あのオチの『とてもすごい警官』問題は、意図的にオチに仕込まれているんですよ」
「えっ? なんだって?」
「続編ですよ。『トイストーリー』シリーズのピクサーだから当然、続編を想定しているわけです」
「…! そういうことか」
「そうです。続編『ベイマックス2』でのテーマにするために、主人公と四人組をヒーローにしたまま残したわけです。自分たちの才能をたったひとつの街の中でだけ活かして、小さな満足にひたっている状態にね。」
「すると、その続編のストーリーは、その状態を乗り越え、小さな満足から卒業する話になるな」
「そう思われます。あの健康ロボの技術は、お兄さんが世界中の人々に贈ろうとした技術的な贈り物なわけですが、一作目のオチの状態では主人公がそれに強い愛着を抱いていて独占している形になります。つまり、お兄さんから世界への愛を、主人公がせき止めている構図になるわけです。
【お兄さんの夢】 お兄さん ─健康ロボの技術(愛)→ (主人公を含む)世界
【ロボ独占状態】 お兄さん ─健康ロボの技術(愛)→ 主人公 ─×→ 世界
このせき止めている状態から、その独占を諦めて、健康ロボを世界に引き渡す。健康ロボットへの執着から卒業し、お兄さんの直接作ったものだけではなくて、お兄さんのより深い志のほうを受け継ぐ。二作目はそういう話になるんじゃないですかね」
「そうしてヒーローを卒業する話になるのかな」
「そこを卒業するか、というとそれは難しいところですね。トイストーリー同様に第三作以上を作るとしたら、ヒーローからの卒業はもう少しずらしてかわすかもしれません」
「ふむう。じゃあ第三作はどう作る」
「第二作のオチでベイマックスが量産されることになるから、第三作だと、偽ベイマックス話なんてのをやるかもしれませんね。バットマンにおける偽バットマン話ですよ」
「ははあ。量産されたベイマックスで世界中の残念なぼんくらたちが残念な偽ベイマックスを作って残念なヒーローをやりはじめるわけか」
「それで、ヒーロー像への誤った憧憬関係とその更生、みたいな話をやるのかなあ」
「なるほど? となると、あの後継ぎの坊っちゃんたちがいい芝居を見せたりするかもしれないな」
「それも楽しそうですね」
「ベイマックスシリーズ第二作はベイマックスとの決別の話、第三作は偽ベイマックスたちとその更生の話になる、と。的中率はどれくらいかな?」
「そうですね見積もってそれぞれ…15%くらいですかね?」
「高いな!」
「昼飯のデザートでも賭けますか。焼きプリン5回:1回で」
「最速で再来年とかだぞ。もう少し大きなものを賭けよう。」
「そうか。そうですねえ…」