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神、必死だな/さいきょうのデスノート第2部

主人公の顔芸

『ああ、僕はデスノートで言えばミサは好きなキャラですね。主人公の嫁キャラ。かなり好きなキャラです。』

「えー?」

デスノートは第2部が低調でしょう。いまいち平坦だった。それは、あの嫁が活躍しなかったからなんですよ。理由を説明しましょう』

「どういうことかな」

『あの漫画の第1部で大事だったのは、あれが家庭内闘争、また、学内闘争でもあり、職場内闘争でもあったところです。主人公は、お父さんや、友人や、同僚と戦っている。』

「そうだね」

『ここでポイントは、父親や友人や同僚は、敵でありながら、完全に排除したい敵対的存在というわけではないという点です。彼らは敵でもありますが、できれば味方としてまるめ込んで使いたい戦力なのです』

「ははあ。確かに、騙して味方にできているならその方がいい、っていう関係の話だよね。デスノートは。」

『敵である身内。刃向かいうる味方。その中で綱渡りをしながら顔芸を見せるところに面白さがあるわけです。ところがさ、第1部で父親と友人を殺しちゃった後、まあそれはそれでしっかりした勝利のカタルシスなんだけれど、第2部を始めるとき、身内じゃない奴が敵になっちゃうんですよ。』

「ああ、あの双子みたいな敵ね」

『双子…? でしたっけ? まああの少年2人組ですよ。天才的頭脳を持ちアメリカの表裏の組織力を駆使してくるかもしれないけれどもさ、身内じゃないんだもの。最初から敵対的で、主人公にとって失ってもなんら痛痒のない存在でしょう。だから彼らとの駆け引き自体からは面白さは出せない。』

「ふうむー? だとして、でも、どうするの」

『そこであの嫁ですよ。そして、主人公の家の母と妹。この三人の女子たちが表に出てくるべきだった。』

「はぁ?」

『具体的には、まずあの嫁の能力にはケチをつけないで、むしろ第1部より強力になる、能力が増えるぐらいにする。そのうえであの嫁と、主人公の母親とのそりが合わない、という話をやる。嫁は強力であり、主人公が天才少年たちと戦ううえで、要所要所でその力が必要なのだが、ところが主人公の母親が《わたしあの娘はよくないと思うわ》とか言って、それで嫁が精神的に不安定になる。このままではどうしても必要な一手が打てなくなってしまう』

「ふんふん。お母さんとの微妙なやりとりが原因で、嫁がナイーブに泣き出したりするのね」

『そうです。それで早く嫁を安定させなきゃいけない。妹は《えーあの人いい子だと思うよ? 面白いし》とか応援してくれるので、主人公は妹に、母親を動かしてくれるよう頼みに行く…』

「なにその嫁と姑に挟まれた婿」

『いや、まさにそれですよ。嫁と姑の仲をとり持とうとしてかけずり回る新世界の神。僕が見たいのはそれです。あの漫画の面白いところは、神、必死だな、というところで、主人公はこころざしは壮大で頭が回ってすごい能力を手に入れたかもしれないが、それでも若僧ひとり、忙しくかけずり回らなきゃいけない。それで浮き沈みがあり、その転換点が顔芸を見せる機会になる。』

「駄目だ、まだ笑うな…というやつね」

『だからですね、僕の考えたさいきょうのデスノート第2部ではこうです。すなわち、嫁をひとり、自分の家に迎え入れるために、ありとあらゆるトラブルが起き、はてしなく強力な敵が襲いかかり、それらすべてをいなし、さばき、解決するためにかけずり回らなくてはならない。新世界の神が。』

「全アメリカと戦いながら神が結婚準備をするのか。はは。ゼクシィ2、3冊じゃ戦い切れないな」

『そうですよ第7艦隊が箱根の教会に大爆撃ですよ。あとハネムーンでシャイアン山に行ったりする。』

「はじめての共同作業でNORADを鏖にでもするつもりか」

『すべて家庭内の葛藤をさばくために、です。そういうふうに、世界との戦いの緊張の頂点が、家庭内の軋轢の緊張の頂点と一致し、同時に解決し次の場面に転換しなければならない』

「適当言ってないか?」

『サルヴァー・ハーディンの衣鉢を受け継ぐ正統な作劇法ですよ… 第2部で、主人公にとって失って痛痒を感じる存在とはなにか? から逆算すれば、強力な能力を持ちつつ自分を愛している嫁であるミサ、そして肉親である母と妹、彼女らとの駆け引きが物語の主軸になるべきことは明白。第1部でだって、やっぱり父親が肉親だったからこそ面白い筋になったわけでしょう。』

「まあそういう面はあるね」

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