電波男/小解説
電波男 ISBN:4861990025
しろはた内萌える大甲子園2005年12月13日〜31日
同エヴァSS夏ヘノ扉
本田透インタビュー
電波男について、おさえておきたいことをいくつか。
電波男は、ひとつの視点でオタク文化史を語り切った、第一級のオタクコンテンツです。宮沢賢治からタクシードライバー、手塚治虫にスターウォーズ、エヴァでONEでイノセンスへ至るまで、喪闘気史観の力強い語りの流れの中に収めてみせた。こんなオタク文化史そうそうありません。見事です。
電波男は、現状の不幸を描いたものであって、解決策を示したものではありません。記載されている提案は限られた対症療法であることを押さえておきましょう。ときおり、「現状がわかっているなら解決策を示せるはずだ」などと思ってしまいがちですが、贅沢であり、誤りです。
電波男は、かなり不幸に書いてあります。「皆は、普通は、そんなに不幸じゃないよ」という指摘は、それはそうなんですが、普通は、少々の不幸なぞ、忙しくってかまってられないわけです。かなり不幸だからこそ、リストアップして構造を整理して本にものせるわけです。だから、ああ、整理されてますね、拝見、と読めばいいのです。
電波男は、言及がかなり男女非対称です。しかし入れ換えて読んでもほぼ成立し、ほとんどの問題がそのまま再現できます。このことも押さえておきましょう。
電波男は、2次元のイマジナリー空間は自分たちにとってどうしても侵されたくない、壊されたくない空間なのであって、ここまでは交渉できるがここからはかなり怒るよ、という線を示しています。
電波男は、負け犬を罵っています。大事なのは罵り続けないことです。囚人のジレンマの理屈でいうと、2発に1発程度殴り返さなければ、殴られ続けます。ですが連打するのも駄目です。素早く謝るべきですし、この点について読者は罵り声に唱和してはいけません。素早く協力-協力関係を構築しなければなりません。