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ヱヴァンゲリヲン新劇場版/水族館危機一髪

LFL
【Qのネタバレはありません】このエントリにヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qのネタバレはありません。




エヴァンゲリオンをブラックなプロジェクトの中で潰れていく現場の話として見立てる、というのは、ふむまあ一理は聞いた。じゃあさその伝でいくと、新しい劇場版はどうなるの」

「序破Qですか。そうですね、今回の劇場版ででかいと思ったのは、朝の出勤通学風景のシーンがすごく肯定的に描かれてたじゃないですか」

「横断歩道や歩道橋、通勤電車のシーンね」

太陽を盗んだ男の曲が流れるやつ。劇場版クオリティだったが」

「あれが非常に美しく肯定的に描かれていたんで、むむ、今回は本当に人々が守られる話をするんじゃないかなと。どうやら今回は、人類を人々を守るっていう題目が公式の建前、つまり嘘、ではなくて、本当にこの人々を、この朝の風景を守るんですよということをするらしい。」

「おぅ?」

「つまり今回の劇場版では、少なくともプロジェクトの公式目標は嘘ではない、少なくともそこはブラックではなくなったようである…?」

「えー」





「なんか今回は碇ゲンドウさんも、『大人になれ、シンジ』とか言うじゃあないですか。」

「言ったね」

「TV版での碇ゲンドウさんの主人公に対する挙動を見ると、あまり父親の挙動には見えない。どちらかというと部局トップのディレクターが、自分に対して過剰な尊敬を抱いて近寄ってくる戦力外の新人を邪険にあつかう挙動に見える。『なに突然俺のこと尊敬してんの? 寄ってくんなよ』とかそういうかんじ。」

「おぁー?」

「それが今回は、忙しい仕事の合間に飯食いに来ようとしたりする。どうも今回は本当に父親の役になったらしい気がするんですよ。」

「このぶんだと、碇ユイさんも非実在ラムちゃんではなく、本当に主人公の母親だし、綾波レイちゃんも視野狭窄に追い込まれたインターンではなくて助けだして獲得していく少女だし、だから葛城ミサトさんも人員すり潰し突撃指揮官ではなくて、持続的に部下を運用できるPMになったりする…?」

「ええー?」

「ちょっとわからないところですけど。特に葛城ミサトさんが生き残ってラストシーンに出られる人間になりうるのかは注目していまして。やっぱオゴりで800円のラーメン食わせてるようじゃ『やっぱこいつ、生かしちゃおけないな。こいつが生き残ってぬけぬけと雑誌インタビュー受けたりとか許されざるよ』という、このPMの下で潰れていった亡魂の世界の意思がでてくると思うんでね。なんか本当にうまいものを食わせてあげないといけませんよね。といって未成年だから高い日本酒ってわけにもいかないし、あの世界は鮮魚とか滅びてるんでしたっけ…ああ! それで水族館か…!」

「んんー?」

「そうか。だもんで浅略なPMのかわりに元カレが中学生デートをセッティングしてあげて、フォローを入れているわけですね。これでひとつ、頼むよ、と。あいつ気が利かないもんで悪いね、現場、苦労かけると思うんだけどさ、勘弁してあげてくれタノムワm(__)mと。あれで今回は葛城ミサトさんは生き残るのかもしれませんね。」

「元カレって加持のことか。」

「加持さんならTV版でも、スイカ畑で同じようなこと言ってなかったっけ」

「でもさそこは違うんですよ。人間、なにか『そこのところひとつ頼むわ』って聞かされたら、『ああまあはい、聞きましたよ』ではあるんだけど、それはスイカ畑で手伝わされながらなんか聞いたのと、デートセッティングしてもらったうえで聞いたのとでは、違う。」

「あーあーあー」

「なるほど。無形ながら借りができてると。」

「そうそう。それでそのうえで、その後にじっさい主人公はインターンを一本釣りする展開になるから、そうなった以上はあのデートは実ったことになるし、実った以上は『そこのところひとつ頼むわ』の一言もなおざりにはできないことになる」

「やっぱあの水族館のシーンは面白い気がする。あそこでPMが生き残る」

「いいねいいね」





「それとあと、秘密連絡会ゼーレの方々がどういう描かれかたになるのかが注目しているところですね。想像によると、今回はあの巨大組織の公式の目標、人々を守る、というのは本当のことで、それを裏切って動いている悪い秘密連絡会があって、主人公の父親がそれをもう一度裏切って人々を救うために働いていた、ということになると思うんで。だからどこかで『ワハハーわれわれは悪い幹部だー』とか言ってくると思うんですけど。」

「そういうエヴァンゲリオンなら見たいな」

「どうなんですかね。TV版が、ひとつひとつ、細かくも大事なところで非快楽的に作られていたんで、そこをひとつひとつ違う歯車に取り替えれば、非常に快楽的な出力に切り替わる…はず…という、理屈になるような気はするんですが、実装はこんな一行の簡単な課題ではないでしょうから。」

「いやあ楽しみですね。どうなるんですかね。鬱病明けに無茶振りくらって身体も壊した増援プログラマが帰ってくるらしいけど、あの人大丈夫なんですかね?」

「アスカのことか」

「そういう言い方はよそうぜ。きっと元気だよ」

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