人の中に人を見るは過つ

　男の子はなにからできてるの？

　かえるとへびと小犬のしっぽ

　女の子はお砂糖と香料と

　すてきなものみんな



　人間は四六時中群居する社会性の強い動物であり、その神経系は他の人間個体を理解するために大きなリソースを割いている。だから人間は、事物を人間としてモデル化して対応しようとすることが多い。猫も石も川も天気も皆、人間と同じように作動するとか思ったりする。かような人間とのアナロジー、すなわちなんでもかんでも擬人化なモデリングは、遠からずと言えども当たり難し。さて、これは人間自身にもあてはまるだろう。古人は人間の精神の内部に、さらに父とか母とかを想定した。人間を構成する要素・部品に、人間を持ち込んだ。

　しかし人間はそれほど人間ではない。

　人間は人間からできているわけではない。

　人間を構成する個々の部品は、人間的とは限らない。

　人間でないものの総体として、人間は組み上がっている。

　上のレベルに統合する（悪の秘密結社）にせよ、下のレベルに分解するにせよ、それらは非人間的なものであり、擬人化できぬと疑っておいたほうが安全だ。それらのはざまにかろうじて、人間として動作するレベルがある。

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