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トップをねらえ2!第2話/一段上って座り込む君はまだ王子様さ

 トップをねらえ2!第2話の絵コンテ担当は、少女革命ウテナの監督をやった幾原邦彦先生である。脚本は同ウテナ脚本榎戸祥司先生。よってこの回をウテナ2!とみなした場合、どうなるか。

 この回は冒頭、モノローグで、お姉様役のラルクが幼かったころにからすの巣から卵が落ちそうになっているのを助けたいと思ったことがあって云々、という語りが入るが、これはウテナでは、第26話、ゲストキャラクターの薫梢が小鳥の巣を助けようとする絵面として出てくる。超能力少年少女が座っている浮遊球状椅子は、若僧は世界を我が物のように思っている、とでもいった小道具であろうか、ウテナでは偽王子ディオスの乗っている球だ。風呂場のタイルにモップ掛けは、ウテナ劇場版のプール場面のモップ掛けで、やはりえろさ担当のシーンに配置されている。

 こうした被らせ方に、これはトップをねらえ!の続編ではないんだよと、スタッフがメッセージを含ませていると感じることもあるかもしれないが、たぶんそれは違う。かの方々はそういった迂遠なことは考えていない。彼らは全力でやっているのだ。彼らが余裕をもってやっていると考えないほうがよい。彼らはやれるかぎりの最善の持ち球を投げていて、だからしばしば同じ球になってしまう。


わたしたちはひとりひとり、ひとりひとつの歌しか歌えない。そのひとつの歌を、力一杯歌うしかない。

                                  ――中島梓、JUNE連載『小説道場』新書館
 さすが中島梓栗本薫)先生、根性の美しい物言いをする。言い換えると、人間の脳神経系は20歳ぐらいまでに形成されて、それからは不可逆だ、という話でもあろう。まあ、そういうわけで、先生方は全力でまたこの球を投げてきたのだ、と考える。

 少女革命ウテナ最終話では、王子様こと鳳暁生が倒され、ヒロイン姫宮アンシーは主人公天上ウテナのもとへ赴く。全49話をかけて、主人公がヒロインの心を獲て、彼女を王子様の懐から奪うという話をしたわけだ。すなわち、なにが気に食わないといって、王子様が気に食わねえ、という話で、少年少女から成る小規模な集団があって、その中でほかの面子より先に大人の階段を一、二歩上った奴がいる。そいつはそこから自分のその大人性かなんかを使って一人、仲間を魅了して部下というか手下というか、操作可能なエージェントにする。そしてその一人を利用することで集団を操作し運営し、それに満足して、よしとする。そんな「階段を一歩上ってそこで座り込んだ奴」はしかし、あまり気持ちの良いもんじゃない。気に食わねえ、やってやれ、ウテナ。アンシーもひよってないで奴を蹴れ、キックヒム。

 そういう話だったということにして、そうすると、トップをねらえ2!第2話は、それを1エピソードで済ませた話、ということになる。あのハッタリをつけてカッコいい王子様ニコラが、見下ろしながらヒロインラルクを脇に置くことで、あの小集団の主導権を得ていた、が、そこに主人公ノノが迫り、ラルクを変心させ、奪う。この展開速度49倍のギアチェンジ具合はたいへん愉快で、王子様を登場即ボコった早さは侮れない。

 ここから7割ぐらいの期待として、これから発表される第3話以降のエピソードのどこかで、卒業する王子様、ニコラがいかに卒業するか、という話が描かれるのではないかという想像が楽しい。かつてウテナでは、鳳暁生は敗北したところまでで、その卒業は描かれなかった。49話ぶんを一呼吸で済ませたのなら、その先の一歩を描く意図がありうる。これはひとつのお楽しみである。

 もうひとつ、トップをねらえ2!で、主人公ノノについて期待できることがある。それはノノがあくまでロボットで、超能力を発現させないままでラルクと気合をあわせ、第2話のピンチを乗り切ったことだ。ノノがラルクをニコラとの怪獣狩り遊びから引き離し、墜落船の救助に向わせる時や、ラルクの妹分におさまる時に言う、「正義の味方ならこうする、お姉様は正義の味方ですよね!」そして、「私のお姉様になってください!」

 これはつまりアンシーがウテナを「ウテナ様」と様付けで呼び、それはやめてくれよと言われつづけるのの逆で、今回は主人公がヒロインに定義を押し付けて、こうあってください、かくあってくださいと要求している。これらのことから無茶に読めば、ノノは自分自身は戦闘力をふるわぬ外付けの良心回路、いわば教育係で、「貴様俺の正義の味方をどうするつもりだ!」とか「貴様等はお姉様となる――偶像に祈りを捧げる力の司祭だ!」(フルメタルジャケットネタ。参照:軍曹語録)とか怒鳴りながら若僧たちを送り出していくキャラクターと見える。そして、ロボットの不老性を使ったオチで締めれば、少年少女を教導し成長させ卒業させていきつつ、自らはその階梯にとどまって往古変わらぬテーマを演じ踊りつづけなければならぬジュブナイルソフトキャラクターの、あるいはジュブナイルソフト制作者たちの、悲哀みたいな絵面にもなるやしれない、このへんの推測はもう与太与太しいが、通して通らぬこともあるまい。

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