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擬人化と利害

 利害の不一致か対立かがないと、ものを擬人化する意義は四割がた減ずる。これはゲーマー的な見積りだが、たぶん合っている。

 文章さんは、伊藤悠と異なる独自の利害を持っている。放っておけば、文章さんは、伊藤悠の利害など、いかほども考えない。伊藤悠の仕事も食事も人付き合いも、そこに文章の種芽がない限りは、文章さんにとってどうでもいいことである*1。文章さんが伊藤悠の助けになっていないわけではない。しばしば助けになる。しばしば害もなす。助けをなそうが害になろうが興味ないのである。

 そのように利害を切り離すことに、文章さんを擬人化して、残りの伊藤悠と切り分ける意義がある。残りの伊藤悠の利害というのがどんなものなのかよくわからないが、少なくともその残りではあるわけだ。

 文章さんの利害はまた、理屈くんの利害とも違う。今のところ、知覚できている限りで、この三人が互いに利害交渉しながら書いているのがこの日記だ。



 理屈くんは、これは名に反するようだが、文章の論理の正しさにほとんど興味がない。文章に形式論理方面で瑕がないように/目立たないように気をつかっているのは、むしろ文章さんである。理屈くんの興味は連想ゲームというか、三題噺というか、いくつかの単語の集合にある。その集合に気が利いていれば、理屈くんにとってはもう十分であり、満足してまた寝てしまう。理屈くんの領分は、わかるという体験に近い(わかるという体験は信用できない)。たとえばCRPGの最適化と確認でいえば、「CRPG、人間、成長、学習、確認」と並べて仕事コンプリート、もうわかった、完了、おしまい。あるいはそれを三行程度に、てにをはで繋げばOK良し終了だというのが、理屈くんだ。それじゃ文章になってないでしょ、文量がなきゃ文章じゃないのよと言って肉付けをし、その中で展開される論理のそれらしさをチェックするのは、文章さんである*2





*1 文章さんにとってどうでもいいことである

会話例


主人公「ああもう、こんな推敲してばかりで何時間いじってんだよ。一日つぶれちゃうぜ」

文章さん「黙りなさい。考えるのよ」


主人公「これ礼儀正しくはあるけど、やっぱり友達ができるたぐいの文章じゃないぜ」

文章さん「あなたの交友関係なんて知ったことじゃないわ」

 げに恐るべきである。





*2 その中で展開される論理のそれらしさをチェックするのは、文章さんである


理屈くん「はい理屈OK。三行で楽勝だね」

文章さん「だめだめ。三行じゃ読み飛ばされるし、印象にも残らないわ。実例を探して来て、形を整合させて並べなきゃ。まずは三つ」

主人公「実例を三つ? 半日かかるよ。二つでどうよ」

文章さん「ワンツー、スリー。スリー。」

主人公「わかってくださいよ」

理屈くん「それじゃ僕は寝るから。」

 文章さんの癖のひとつに、三つ挙げよ、というものがある。二つでは説得力が不足だという。四つではだれるのだそうだ。この三つ目が曲者で、うまいのが見つからずに行き詰まることがままある。

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