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対頭脳戦の真砂

 この世界での勝負の多くは時間に依存しており、早く計算結果を出したほうが有利である。(参考:第一日記2003年3月5日脚注) 計算速度を稼ぐうえではしばしば、アルゴリズムではなしにヒューリスティックを使ったほうが早い*1。特に他の処理系と戦っていて、こちらが内部でどんな処理をしているのかを相手が知らない場合、多少隙があってもヒューリスティックのほうが強い。隙を探し当てるまでにいくらかの時間がかかるわけだし、そのいくらかがいくらかがわからないのでギャンブルであり、相手をためらわせもする。

 兵は拙速をもって尊しとなすというやつだ。



 あるヒューリスティックが計算速度を誇り、勝ち、稼ぐ。ある期間。そしてヒューリスティックであり隙を持つがために、そのうち、その隙を発見されてかっぱがれる。ハメをくらう。搾取される。一瞬搾取された後、教訓が口伝され、注意書きがマニュアルに載って、その隙はふさがれる。またしばらくすると別の隙が発見されて搾取される。またふさがれる。こうしてだんだんつぎはぎが当たって隙がなくなっていくとして、それは、計算速度が落ちていくということだ。したがって、ある時点で、別の新しいヒューリスティックが生み出されると、そちらが勝つことができる。この新しいヒューリスティックは、既知の搾取手法をひととおり押さえているうえで、計算速度で優っていればよい。これはこれで別の隙があり、かっぱがれ、ふさがれ、計算速度が落ちていくであろう。そんなことをしているうちに古い搾取手法が忘れられていって全体としては繰り返しっぽくなる。



 とまあそんな理屈だ。具体に例えると世界に詐欺師のニッチが常にあることの理由のひとつといったところ*2



 神経系は元来は、科学とかそういったもののためというよりは、こうした戦いのために鍛えられてきたものだといえるだろう。





*1 アルゴリズムではなしにヒューリスティックを使ったほうが早い

 そもそもアルゴリズムがない問題だってある。



*2 世界に詐欺師のニッチが常にあることの理由のひとつといったところ

 たとえばある業界があって、いくつもの会社がある。そこへ案件を持ち込んでくるプロデューサーたちがおり、その中には詐欺師もいる。すべての会社が厳重厳格に案件を審査すれば詐欺師のほぼすべてを蹴り返すことができるだろう。だが、いくつかの会社は、粗いヒューリスティックな審査でよしとする。それによって早く案件に取りかかれて、業界内競争で勝てるからだ。何度か詐欺にあうだろうが、そのリスクは、勝ちに見合う程度までは負える。こうして云々。

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