指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

消費時間差/ホストと即レスとベクトル

 世はなべて頻度依存。なので、人間がたくさんいる昨今の地球では特に、まとめて時間をかけて考えたネタ、あるいはずっと事毎に折り触れて考えてきたネタでなければ、価値が下がってしまう。一方、寂しいのでリアルタイム即レスでの対話がしたい。この二要素がトレードオフする。



 ダイアリーや何やらに対して、内容のある文章を即レスできるケースは稀である。なぜなら、コメントを付ける相手は自分と同程度の、興味範囲のかぶった人間であり、そのような人間が数時間なり数週間なりのある程度長い時間をかけて(時間をかけないで書いたものならばコメントをつけようと思わないはず)書いたダイアリー本文に対して消費時間の少ない思惟でレスすれば、それが反論志向であれ異論志向であれ、彼が検討したうえで書かなかったネタ、取捨したネタになる可能性が高い。あるいは、論を書いた時点でそれに既に含まれている話、論の一部としてその論の中で止揚されている話、それを持ち出してしまう可能性が高い。いずれにせよ、つまらないと思ったから詳しく書かなかったのにその方向にコメントが付いた、ということになりがちで微妙に不幸であり価値が低い。



 この、ホストとコメンテイターとの消費時間差は、会話との大きな違いの一つである。



 よって、実際上、目指すべきコメントの基準は、かなり安全寄りなものであろう。含まれるメッセージは「もっと書け」。外部の修飾は、相手のページの絵面の質を落さないよう、ぱっと見のS/N比を下げないよう、具体性その他表面的な小技を使って包む。

 場合によってその基準が満たせないこともあるだろうからその時は手を出さず、また稀には相当いいネタが即座に持ち出せることもありその時は躍り出て長文レスするが良い。だがそこにさらに良いネタが即返されることは、稀のべき乗なので期待できないと思わなければならない。



 違う言い方でいうと、多くの場合、ある文章に対して合いの手でない文章を書こうとしたら、その文章とある程度、基点や方向の違う、そして長さはそれに匹敵するベクトルで文章を作らなくてはならない。つまり、ある程度離れなければならない。離れると口寂しい。全体で難易度が高くなかなか上手くいかない。





参考:

第一日記2001年10月06日ドレイク的に外した友人

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