指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

軽さ萌え/イノセンス、トロイ、ROTK

 最近観た映画の見所。

 イノセンス、それはいのち。野暮ったいコピーでファン(双方の)を不安にさせていたこの作品だが、公開されてみると十分に制御されて、いわばややこぢんまりと収まり、スゴイことにはならず、そちら方面のはっちゃけ期待者には残念なこととなった。

 素晴らしいのはやはり、押井先生がこの7年間、怠りなくロボ娘萌えについて思惟を深めていたことである。前回、先生はロボ娘の被破壊萌えと重さ萌えとを見事に描ききった(第一日記2001年7月13日と同14日)。しかして先生は決してそれに満足せず、さらなる視座を求めて切磋琢磨しておられた。

 そして今回は、そう、軽さ萌えである。これは意外な方向であり虚を突かれた。ロボ娘は重い、その重さを演出しきった時にアニメの本懐が爆発する、そう信じきっていたわれわれの前に、球体関節人形の軽いロボが、お茶汲み人形の軽いロボが、祭り行列の巨大で軽い張子ロボが提出され萌え萌えであった。袋詰にされて吊り下げられる塩ビ系ロボ、叩くとうつろな音がするがらんどうロボであり、これが殴られて手応えなく飛んで壁にぶつかり、跳ね返ったり、軽機関銃のオーバーパワーな弾着で紙風船のように浮いたりするのが楽しい。軽機関銃は『人狼』で公安のおじさまがたを濡れた雑巾のように、一弾着毎にはためかせ、空中コンボ的に浮かせて吹き飛ばしていたが、今回は雑巾が乾いている。この質感の違いが見所である。

 また、漫画やアニメのかわいい娘っ子の顔というのは、非常に記号化せざるをえず、逃れ様が少ない、と、一般に言われる。先日、黒田硫黄先生が『セクシーボイスアンドロボ』がらみのインタビューで、ヒロインかわいいっすね、と言われて、いやまあ、漫画の女の子ですから、どうにもなりませんね、と答えていらしゃったのが面白かったが、そういう漫画/アニメの制約をふまえて殺人日本人形達vs中身草薙日本人形の同じ体同じ顔対決構図を、そして映画の企画意図を考えるのも愉快である。



 さて次に、予告で観ただけだが、トロイと書いてTROY。これは、エイジオブエンパイアをやっていた人間はマストである。非常に素晴らしい。なにがといって、ボタン押し過ぎである。

 生産ボタン押し過ぎ。

 モニターがガレー船と重装歩兵でいっぱいになってるのにまだ押してやがるの。Ctrlキー付きで超連打してる。フォグエフェクトで見えんくなってるむこうまでびっしりフルアップガレー。絶対正規マップの資源量じゃ足りてない。嫁さらわれて頭に血ィ昇ったもんでチートコード入れて金とか木とか増やしてやがる。もうね頑張れと。そのままどこまでも押せと。大平原でぶつけてどれだけ溶けるか見物してやると。主力が移動したあと画面隅に範囲指定から漏れて取り残されてる奴らがいて、手持ち無沙汰にアニメーションしてるだろと。この映画ね、あれね、絶対ね、ラグる。

 そんなわけでリアルタイムストラテジ野郎は行くしか。というか、最近の映画の軍隊はどれも押し過ぎの傾向があって、その第一の頂点とも言えよう。指輪物語でさえ押し過ぎであり、ヘルム峡谷でのガンダルフの増援が1000人とかって、あんたそれ画面埋め尽くしてますよ、絶対30x30じゃ済まないって。まあモルドールの軍勢でさえたった1万。原作でのスケールが小さいので映像化で嘘をつくことになっているわけです。あれぐらいの生産力の世界では、今の映画界の技術力に見合う大軍勢は養えないという。

 軍勢といえば、突撃前のアラゴルンの号令は愉快だ。人間の世が終わり、勇士が友を見捨てる日が来るかも知れぬ。だがそれは今日ではない!だがそれはここではない!ゴー! え、突撃ですか? いきなりおうさまが走り出しやがった! しょうがねえ行くか。 若さがみえてかっこよい。それに対してセオデン王の号令は、うちんところではお祖父ちゃんも曽祖父ちゃんもこの号令で突撃してきたよ、ってな伝統が感じられて安定感があります。あからさまに馬のカウンターユニットである象へ正面からぶつかりに行くのは男らしすぎるぜ。

 予告といえば超期待超燃えなのが宮崎駿先生のハウルの動く城ですがこれは

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