指輪世界の第五日記。基本的に全部ネタバレです。 Twitter 個人サイト

DAoCの対人戦のシステム/毎5レベルバトルグラウンド最高

 DAoCことダークエイジオブキャメロットの対人戦、Realm vs Realmはよくできています。ポイントは、5レベル毎の参加制限のついたRvRゾーンが設けられていること。これはバトルグラウンドと呼ばれる3カ国の共通ゾーンで、RvRをやりたい人はただみたいな値段のゲート料金を払ってそこに行くことになります。LV01-04、05-09、10-14というふうに44レベルまで9個のバトルグラウンドがあります。各ゾーンは正方形、中央に城があって10人程度のNPC衛兵が守っており、これを攻め落とすと経験値が入り、衛兵が自国のものに置き換えられて、こんどは自分達が他国のPCたちから城を守る側となります。PCを殺すことでも経験値が入ります。またある程度の貨幣、これは奪うのではなくシステムから降ってきて、攻城兵器代金と均衡します。殺されたほうは15秒後にマップ端にある自国の城(絶対陥落しない)から復活、死亡ペナルティは無しです。

 21-23時頃にログインして、/who <ゾーン名>で検索をかけて人がいたら konbanwa. teki imasuka? 3-4人居ますね そうですか今から行きます、てなもんで、集まってきた面子で野良パーティを組む。敵味方の人数が少ない時は城から離れた丘陵地帯で遊撃戦になります。そこで


レーダーが無く、名前の表示も非常に近距離になるまで出ない

範囲催眠呪文(Mezmerize)が痛烈

主ダメージソースである呪文詠唱クラスが低防御力で軟らかい

ために戦術的奇襲が強力で、後方/視界外から不意をついた側が勝てます*1。人数が集まってくると城が落とせるので、そこからは城壁と設置式の攻城兵器とを軸にした戦いになります。

 国籍が3つあるのが巧妙で、たとえばその晩の人数編成が16人、8人、4人だった場合、4人は8人の味方をせざるをえません。一見、16人+4人で8人をいじめれば? と思いますが、そうすると8人が「えーマジで? これは今日は駄目だな」と言ってバトルグラウンドを抜けて自国エリアにひっこみ、一般的な非対人のモンスター狩り(mob狩り、PvE)とかを始めて、RvRが終わってしまいます。ここで、バトルグラウンドの向こう/こちら側の各国エリアに他国人が決して入れず、RvRを強制する権利が無いことが大切です。

 いじめ的同盟でなくても何かしらの談合が可能かとも思えますが、ある国のキャラクターを使ったらログアウト後3時間他国のキャラクターでログインできないこと、国の間で/tellコマンドが通らないこと(他国のキャラとは会話ができない、/emoteで手を振ったりおじぎしたりのみ)、画面上に他国キャラの名前が表示されず/whoコマンドか殺し殺された時のログを見るまで種族名と風体でしか個人識別できないこと、などから、実際上、交渉は行われていません。味方からして野良で集まるとすれば、/tellの通らない敵方とはさらに偶機であり、そこで提携を結ぶ手間のコストより殺し合ったほうが早いとなる構図です。

 レベル差によるバランスも人数差と同じ理屈である程度自動調整されます。また先程述べたように不意をついて範囲Mezzを入れればボコれるので、少人数パーティに戦術的奇襲面でわずかながら優位があること、そもそも戦力差を戦術レベルで覆しうる分散の幅が広いこともいえます。もうひとつ、バトルグラウンドの5レベル規制により、たとえば20-24レベル帯では24レベルのキャラクターは最強であり、2人パーティで8人パーティと差し合うことが可能なのですが、このとき、多人数を倒しつづけ勝ちつづけると早く経験値が貯まり25レベルになってしまい「卒業」してしまう、ということもあります。そして次の25-29レベルに行くと25レベルというのは新米で、もう一度ペーペーからなので良いです。

 バトルグラウンドでRvRをやっていて得られる経験値効率は、自国エリアでの一般的なmob狩りによる経験値稼ぎに比して、僕の20レベル帯での体感で1/5程度(※貨幣はあまり重要ではない)ですが、しかしシステムがわかってくると、どうも経験値というのはこの「新米からはじめてやがて卒業」過程による綾を発生させるという意味が強く思えてきて、狩りや稼ぎの段取りによる時間効率の最適化の意識が少ないかんじです。

 バトルグラウンドが背景にあるため、経験者が別キャラで通常エリアでPvEなどをしているときに、出会った初心者へのシステムの説明が丁寧です。それらは「バトルグラウンドで野良パーティで指揮をとることの練習」だからです。逆にいうと最初の野良PvE、野良バトルグラウンドから、速攻で指揮をとっていくべきです。

 現在のワールドオブウォークラフト等のRvRで悩ましいのは、こうした5レベル差制限のバトルグラウンド的仕様が未実装なため、60レベル(最大値)のキャラクターが20レベルキャラクターの狩場にやってきて虐殺をするところです。人口密度的理屈から、その場にいる面子が集まっても勝てません。そこでようし貴様上等だ、高レベルキャラを作って復讐してやる、と思っても、高レベルになった時には、高レベルの敵とRvRがやりたい人間は高レベルの狩場に行くので、結局もう会わない理屈です。まったく不幸なありさまです。仕様自体はアルファテストの段階で報告されて(waybackmachineの2004Feb※重い 指輪世界内ミラー)いるのですが……

 Blizzard!! お前らが神なことはもうわかってるんだ!! 際限無き調整をあきらめ、すみやかに実装しろ!!





参考:

うさださんの- DAoC - Dark Age of Camelot 全体的なシステム分析。いつにも増してゆるみのない文章。

漫がう(DAoC編) 漫がう(Pamellyが逝く) 色鉛筆漫画。この人絵が上手い。

Impress Game Watchのレビュー前編(川崎政一郎) 後編滝沢修) いつも思うけどインプレス質高い。紙媒体の7倍ぐらい?

Dark Age of Camelot 日本語版 Wiki 詳しい。頼れる。

DAoCの対人戦について Shadow Baneとの比較など。



食肉系統βテスト適当記 WoWの旅行記的な紹介、素敵。

アニる。PvP動画できたよほかWoWカテゴリ WoWのネタ的な紹介、素敵。



*1 遊撃戦

 roam戦、roamingなどとも言い、正方形のマップ内をパーティ単位でぐるぐる走り回って、敵パーティを探して、あわよくば奇襲を狙うことです。

 重要なのは、走り続けるということは、接敵方向が12時近傍になることだ、という点です。相談事やなにやで足を止めている場合、360度いずれの方角からも接敵が起こり得ますが、走り続けているパーティが背後から接敵されることはまずありません。このことから、人々は走り続けます。





Player vs Playerに関する断片的メモ

 リネージュ1はギルド単位で戦闘開始日時を取り決めて城周辺エリアがPvPエリアとなり取り合いをするシステムだった。PvPで何かの役に立てるのは最低42レベルからだね、とか言われて38レベルまで蟻穴に篭ったが寝た。のちDiablo2プレイ時に類似と差とに衝撃を受けた(ディアブロ2のシステム)。

 Diablo2のPvPはどちらかというと成長システムの仮の目標にするためのもので、つまり、これこれこういうスキル/装備構成のキャラクターってどうだろう? 作ってみよう、と考えて、1stキャラから装備を渡したり、あるいは2ndキャラを育てながら3rdキャラの装備を意識して稼いだりトレード掲示板を使ったりする。実際のPvP自体は、「そんなスキル/装備構成もあるのか、へええ」という、自分と相手とのcharacter buildの御披露目会性が強い。一般的にDiablo2では、次に育てるキャラクターを意識せずに育てるキャラクターは今一つ面白くない。

 Asheron's Call 2は3カ国で、世界全体が共有されており、開拓地という設定で町が無く衛兵、guardすら居なくて轢き放題(轢く=レベル差や人数差から結果の見えているplayer kill。gankともいう)であったが、人口密度が非常に低かったため(過疎サーバーを選んだのでサーバー特性かも?)それほど困ることはなかった。PvPで経験値が入らないことと、ワンデイリセットクエスト複数個に人集めの絡んだスケジュール管理が面白かったことから(リセットタイマーと行動指針)、まともにPvPせず、時折60レベルの他国キャラに轢かれて、クエストの邪魔だなあと思っていた。アシェロンズコール2は最高60レベルのところを40強まで行ってワンデイリセットクエストがなくなりランニングハント主体になったところで寝た。この際の体験から考えてみると、CRPGを支える主骨が成長システムだとして(※この時点でウルティマオンラインが除外されるっぽいことに注意)、60レベル頭打ちから開始されるPvPというのは成長システムが停止したところからはじまるわけだから主骨に絡んでおらず駄目気味だ。常にレベル上げに絡み、それとともに進んでいくシステムでなくては……このへんは原理的な話だ。雑に言うとPvPで経験値入らないと駄目ということになる(時間あたり経験値の効率は通常のPvEの10%くらいでかまわない)。

 レゾナンスエイジMaster of Epic)はS田さんに聞いたところでは5レベル差ではない全体のRvRゾーンで、成長で頭を打った(成長頭打ち自体はかなり早いようだ)キャラが相当多数、集うらしい。2カ国で直線状のマップでそれぞれの側の端に利益があるというので不幸なかんじがする。その利益も成長が頭打ちになっている状態である以上、小意味ぽい。直線なので裏回りができず、またMezzが単体だったりして、頭数で勝敗が見えやすいみたいだ。手動入力の盾防御→スタンにより1v1は楽しい仕組みのようだ。

 DAoCは近接肉体戦闘職のスキル発動条件に敵の方向が入っているのが素晴らしい。側面/背面条件のスキルが各職3つ程度あるので(例:前掲wikiコンバットスタイル/アルビオン)、mob狩りですら位置取り意識がちょっとあって、このちょっとの位置取り操作がものすごくなごみ、寝ない。遠距離呪文職にも角度による条件をつけてくれればいいのに…… システム上で二次元空間になっているかどうかについて考えると(バーチャファイターは一次元 その2)、敵の攻撃力価値/硬さ、接敵までの時間、相手の視界方向(≒反応速度)の要素により、やはり近接肉体戦闘職で熱いかんじで、遠距離呪文職は一次元気味になる。攻撃力価値/硬さについていえばMezzの強さもあって、遠距離呪文職のほうが<傍点>重要性は高いのだが。(※20レベル時点だから詳しくは知らない) この観点でWoWはRogueの背後攻撃しかないので悲しい。

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